社員のモチベーション・エンゲージメントの向上に最適 我が社もマネしたい!令和の社内表彰制度

社員のモチベーション・エンゲージメントの向上に最適 我が社もマネしたい!令和の社内表彰制度 コミュニケーション

あなたの会社の社内表彰制度、何となくマンネリ化していませんか?

単に形だけのものになっていて、何の目的で始まったのか、誰もわからない状態では何の意味もありません。もしかしたら、「社内表彰って必要なの!?」という意見が出ている会社も存在するのではないでしょうか。

では、社内表彰制度とは、一体何なのでしょう?

国内の労働人口の減少、働き方の多様化が進む今、社員の生産性の低迷や離職者の増加に悩む企業が多くあります。 
これらの解決策の一つとして、社員のモチベーションやエンゲージメントの向上が挙げられます。
そこで今、注目を集めているのが社内表彰制度です。

この制度は年次や部署に関係なく、企業で働く全ての人に、公平で正当な評価を与えることを目的として導入されるものです。
社内表彰制度の目的を明確にし、正しく運用すれば、社員のモチベーションやエンゲージメントの向上に大きな役割を果たします。

そこで今回は、社内表彰制度の概要や導入するメリット・デメリット、事例や実際の運用方法などから、社内表彰制度を成功に導く手法を紹介します。
これから導入しようと思っている方、または今の制度の改善を検討している企業の方は、是非参考にしてみてください。

1. そもそも社内表彰制度って何?

社内表彰制度とは、社員の優れた功績や、業績アップに貢献したことを会社が評価し、讃える制度です。

従来の社内表彰制度には、企業が掲げる「理想の社員像」を指し示すためのお手本のような役割が強くあったため、より高い給与や役職などを与えることが多かったのですが、現在では、社員の仕事へのモチベーションアップや維持のために、定期的に褒めて「承認」するために表彰を行う傾向があります。

株式会社グローバルプロデュースが行った「大企業のエンゲージメント向上施策に関する調査」によると、エンゲージメント向上施策として最も多く行われているのは、「評価・表彰制度の充実」(63.3%)でした。

大企業のエンゲージメント向上施策に関する調査 エンゲージメント向上施策の効果

(出典元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000075828.html

「評価・表彰制度の充実」を含むエンゲージメント向上施策の効果を実感している企業は約7割にも上ります。

このため、エンゲージメントを向上させるための施策のひとつとして、社内表彰制度を導入する企業が多いのです。

また、この制度は、社員から見た場合に「自分は会社でどのぐらい頑張ればいいのか」という目安にもなり、社内での自分らしい働き方や、明確な目標を持った働き方をするための役割をも担っています。

ちなみに、社内表彰は、法律上、社会保険などの「法定福利厚生」とは異なり、「法定外福利厚生」に該当するため、制度の内容にルールはなく、会社ごとに選考基準や時期などを自由に決めることができます。
(ただし、社内表彰を行う場合、表彰の内容を就業規則に明記することが、労働基準法で求められています。)

社内表彰制度には様々な種類がある一方、その内容や導入手順、運用を誤ると逆効果になりかねません。

制度導入にあたり、知っておくべきポイントや手順について、具体例を交えてご紹介します。

1−1.社内表彰制度がもたらす効果

(1) 社員のモチベーションアップ
(2)会社が理想とする社員像の浸透
(3)社員の潜在的な不満の緩和

(1)社員のモチベーションアップ
社内表彰という一つの明確な目標ができる事により、社員は前向きに日々の業務に取り組むようになります。

単に給与やボーナスに反映させるだけでなく、表彰という目にみえる形で伝えられる事により、
表彰を受けた社員には貢献が承認されたという意識が付きます。これにより、社員のモチベーションや生産性の向上、さらには会社への帰属意識にも繋がっていきます。

(2)会社が理想とする社員像の浸透
例えば、会議での発言数や業務に直接関連しない改善案数など、様々な観点からの賞を設けることで、会社が求める人物像を幅広く、具体的に社員に伝えることができます。

会社には、「社員にはこんな働き方をしてほしい」という意向があり、それは人事評価制度を通じて社員に伝えられます。

人事評価制度は1対1で直接改善点をフィードバックする形式になりますが、社内表彰制度では、そうしたメッセージを間接的に伝えることができます。

社内表彰制度には、表彰される社員だけでなく、それ以外の全社員に対して、会社のメッセージを伝える効果があります。

(3)社員の潜在的な不満の緩和
業務に直結しない取り組みの中には、人事評価制度ではカバーしきれないものがあります。

シュレッダーのゴミ捨てや書類整理、電話対応など、気づいた人が行う、という状態を放置していると、「せっかく会社のためにやっているのに、評価されないのであればやめてしまおう」という潜在的な不満が生まれてしまいます。

社員が会社のために行った貢献を表彰することで、そうした不満が解消され、会社への帰属意識や貢献意欲を維持することができます。

1−2.社内表彰制度の弱点

(1)不公平な運用がモチベーションの低下を招く
(2)社員同士のコミュニケーションが悪化する
(2)運用コストの増加

(1)不公平な運用がモチベーションの低下を招く
これまで見てきたようなメリットは、全て表彰制度が公平であり透明性が保たれていなければできないものになっています。

納得感のない社員ばかりが表彰されたり、表彰対象に偏りがあったりなど、不公平な運用がなされると逆効果になります。
公平性や透明性は、制度導入時、運用時のいずれにおいても重要な鍵になります。

(2)社員同士のコミュニケーションが悪化する
社内表彰に対する社員同士の競争意識が高まりすぎると、かえって社員同士や部門間での協力体制を阻害し、コミュニケーションの悪化を招いてしまうことがあります。

対策としては、営業職のような業績を数値化できる表彰に対し、事務職のような部署には、例えば「事務処理能力が高く正確性に定評がある」などという基準を設けます。また、「個人を対象にするもの」と「チームを対象にするもの」など、様々な観点からバランスの良い制度を作ることがポイントになります。

(3)運用コストの増加
社内表彰制度の運用には、当然ながら一定のコストがかかります。

例えば、選考にかかる時間、表彰式の準備、実施にかかる時間などです。また、表彰対象者に記念品を用意する場合には、記念品にかかる費用も加味しなければいけません。

ちなみに、社内表彰の内容によって記念品にかける予算が異なりますが、相場は2,000円から3万円程度で設定されています。

・新人賞、努力賞: 2,000円から1万円程度
・失敗賞: 3,000円から1万円程度
・永年勤続賞: 1万円から12万円程度

新人賞や失敗賞といった表彰は設定金額が低いケースが多いようですが、永年勤続賞においては勤続年数によって相場が変わります。

勤続10年、20年、30年といった10年単位の節目で行う場合が多く、一般的に勤続した年数が長くなるほど金額も上がっていきます。大体の金額相場は以下のようになると言われています。

・勤続10年 5万円以下
・勤続20年 10万円以下
・勤続30年 15万円以下

これは永年勤続表彰の内容が賞与(現金)のみの場合でも、賞与+記念品の場合であっても同様   で、例えば勤続10年の表彰であれば4万円の賞与+1万円程度の記念品、といった感じになります。
しかし、適切に運用された社内表彰制度は、これらのデメリットを上回るメリットを会社にもたらしてくれます。

2.どんな社内表彰があるの?ユニークな成功事例9選!

では、実際に社内表彰制度を導入している企業の事例をいくつかご紹介します。
企業規模や業種、風土によって、社内表彰制度の内容は様々です。

〜ピアボーナスを導入している企業の事例〜

【報酬は現金支給?! Googleのピアボーナス制度】

手法:ピアボーナス
報酬:150ドル程度の現金
評価者:社員同士

報酬は現金支給?! Googleのピアボーナス制度

Googleが導入するのは、「ピアボーナス」という社内表彰制度です。Googleでは、150ドル程度の現金を社員同士が送り合います。

ただし、自分の直属の上司や部下には報酬を送ることはできず、他のチームの社員に送る仕組みになっています。また、同じ社員にはピアボーナスを6ヶ月間送ることはできません。

通常、ピアボーナスは現金ではなくポイント形式でやり取りされるケースが多いのですが、Googleの場合は現金の形で送られるため、マネージャーの承認が必要となります。

送られたピアボーナスが承認されると、次の給与にその金額が上乗せされる仕組みになっています。

【気軽に感謝の気持ちを贈り合える 株式会社メルカリが行うメルチップ】

手法:ピアボーナス
報酬:金銭
評価者:社員同士

株式会社メルカリが行うメルチップ

(引用元:https://mercan.mercari.com/articles/2017-10-24-151523/

「メルチップ」という名称で、社員同士が報酬を送ることができる仕組みを導入しています。わざわざピアボーナスの仕組みにログインするのではなく、既に社員が使用しているSlack上で報酬を送り合うことができます。

メルチップは日常的に発生しているものの、見落とされやすい出来事に対して気軽に感謝の気持ちを表せる仕組みです。ささやかな内容で送ることができるので、海外への事業展開で人数が増えていく中、拠点を超えて気軽に、リアルタイムに賞賛し合える制度になっています。

【「ありがとう」の気持ちをポイントで可視化する ヤマト運輸】

 手法:ピアボーナス
 報酬:バッジ、表彰
 評価者:社員同士

ヤマト運輸が導入する「満足BANK」は同僚からの「ありがとう」や「すごい」という評価をポイントで可視化し、積み重ねていくことができる社内システムです。

サービスドライバーだけでなく全社員が活用でき、誰が誰を褒めているのかも閲覧できるのが特徴。同僚から褒められるとポイントが付与され、ポイント数に応じてバッジの贈呈があります。
さらに、全体のポイント上位者には式典の際に表彰が行われます。

〜サンクスカードを導入している企業の事例〜

【ご褒美は招待制の特別なパーティー 株式会社オリエンタルランド】

手法:カード、イベント
報酬: パーティー、イベントへの参加
評価者:上司

東京ディズニーランドを運営しているオリエンタルランドでは、「ファイブスター・プログラム」と呼ばれる制度を実施しています。

ゲスト(来場者)に対しておもてなしを提供するための行動・判断基準がまとめられた「The Four Keys 〜4つの鍵〜」に従っているキャスト(社員)に対して、上司からファイブスターカードが渡され、このカードを5枚集めると、招待制のパーティーに参加することができます。

ファイブスターカード

↑素晴らしい対応を行ったキャストを讃えるファイブスターカード。
(引用元:https://www.olc.co.jp/ja/sustainability/social/relation/recognition.html

キャストのモチベーションを高めるだけでなく、ゲストの満足度を向上させる評価内容のため、顧客満足度をも高めることができる制度です。

上司からキャストに手渡しされたカード数

また、「サンクスデー」では、パーク閉園後にアルバイトを含む準社員や出演者に感謝を伝えるイベントを実施。役員や社員がキャストとなり、準社員や出演者をゲストとして迎えてもてなすことで、社員に感謝を示す機会を設けています。

【最高の賛辞を表現するカードをプレゼント ザ・リッツ・カールトン東京】

手法:サンクスカード
報酬:人事評価に反映される可能性がある
評価者:社員同士

ファーストクラス・カード

ザ・リッツ・カールトン東京では、「ファーストクラス・カード」として、サンクスカードを導入しています。

例えば、自分の業務外の仕事を手伝った際、手伝ってもらった社員が手伝ってくれた社員に対してファーストクラス・カードを渡します。カードには「あなたはファーストクラス(最高)だ」という意味が込められていて、モチベーションの向上に繋がります。

そして何より特徴的なのが、このカードが人事評価で参考資料になるという点です。手伝ったことも、感謝したことも、人事評価にプラスになる仕組みになっています。

【サンクスカードで互いに感謝の気持ちを伝える 株式会社荒木組】

手法:サンクスカード
報酬:表彰、プリペイドカード
評価者:社員同士

協力してくれた同僚や、お世話になった役職員にメッセージカードで感謝の気持ちを伝える「ありがとうカード」を実施。毎月集計を行い、「ありがとうカードアワード」という形で表彰を行っています。
受信数・発信数、メッセージ内容によって、ノミネートされた社員には褒賞金が授与され、20枚書くごとに1,000円分のプリペイドカードがもらえる仕組みになっています。

ありがとうカードの具体的なメッセージ内容としては、「夏に休みを取れて、子供たちと遊ぶことができた。所長ありがとう」、「苦情の対応、タイムリーにしてくれてありがとう」、「水害の際、水に浸かりながらも物資を届けてくれてありがとう」等があります。

【全社員を称えエンゲージメントを最大化! 株式会社エスバイエス】

手法:サンクスカード
報酬:表彰
評価者:社員同士

経営計画発表会の場で、業績優秀者の「優秀社員賞」、「縁の下の力持ち賞」、「お客様からほめていただけた賞」等、様々な賞を設け、ほぼ全員が何らかの賞を獲得できるようにし、やる気の向上を図っています。

サンクスカード

(引用元:https://recruit.sxscorp.com

また、「お互い様」をしっかりと伝えたり、「ありがとう」の気持ちを伝えるために「サンクスカード」を社員相互に渡しています。

〜表彰制度を導入している企業の事例〜

【全社員、部署、さらに業種間でも!みんなで成果を称え合う 株式会社サイバーエージェント】

手法:表彰
報酬:トロフィー、金銭
評価者:社員同士

グループ全体で半期に一度、各事業部単位では月に一度、活躍した個人やチーム、プロジェクトを表彰する機会があり、高いパフォーマンスや成果を称え合うことで、互いに切磋琢磨する環境を実現し、モチベーションの向上につなげています。

半期に一度の全社総会では、グループの全社員の中から、最も活躍した個人、チーム、プロジェクトなどを表彰。オリジナルのトロフィーや金銭インセンティブも授与しています。

cyber agent awards

(引用元:https://www.cyberagent.co.jp/sustainability/info/detail/id=26071

さらに、社内で活躍するエンジニア・クリエイターを表彰するための表彰制度「CA BASE AWARD」では、技術者が技術者を讃える機会をつくりたいという提案から、現場のエンジニア主導で運営が行われています。

これは、縁の下の力持ちであり企業の屋台骨とも言えるエンジニアやクリエイターを賞賛することが目的で、オリジナリティの高い表彰制度となっています。

CA BASE AWARD

【世界一のパフォーマーを称えるアワードがたくさん 日本マクドナルド株式会社】

手法:表彰
報酬:賞金、トロフィー
評価者:会社

素晴らしい業績を残した世界中の上位1パーセントの店長に授与される「グローバル・レイ・クロック・アワード」や、上位1パーセントのスタッフに授与される「プレジデントアワード」のようなトップパフォーマーを称える様々なアワードがあります。

global ray kroc awards
presidenti award

(引用元:https://www.mcdonalds.co.jp/recruit/staff_recruiting/culture/recognition/

それ以外にも、日常的に相手に感謝の気持ちを伝える文化があり、相手がしてくれた配慮に対して従業員が「サンキュー!」と伝える習慣が根付いているのも特徴です。

3. 社内表彰制度の方法とは?賞と記念品の種類

  これまで見てきたように、会社によって社内表彰制度の内容は様々です。

会社を取り巻く環境が大きく変化する昨今、社内表彰制度の形も多様化しています。では、実際に社内表彰制度を導入する際、具体的にはどのような方法を取れば良いのでしょうか。

ここでは、社内表彰制度の具体的な方法、さらに提供する賞の種類、記念品の種類について紹介します。社員がワクワクして積極的に参加したくなる社内表彰制度のヒントが、きっと見つかるはずです。

社内表彰制度の方法

社内表彰制度の代表的な方法として、ピアボーナスとサンクスカードの2種類を紹介します。
ピアボーナスは社員同士が仕事の成果や貢献に対して少額の報酬を、サンクスカードはちょっとした感謝の気持ちをメッセージにして送り合います。

どちらも感謝の気持ちや称賛を伝え合い、その数を元に社内表彰に活用できるツールとしておすすめです。

【ピアボーナス】
ピアボーナスとは、peer(仲間)とbonus(報酬)を合わせた言葉です。
会社から社員に報酬を贈るのではなく、社員同士が仕事の成果や貢献に対して賞賛すると共に、少額の報酬を送り合う仕組みのことです。

報酬の形式は、お金だけではなく、様々な商品に交換できるポイントやカタログギフト、金券など様々。ポイント制賞与制度とも呼ばれ、今までの給与制度にはなかった新しい仕組みとして注目されています。

この制度はGoogle社で初めて導入されたと言われていて、現在アメリカの多くの企業で導入されている制度になっています。

企業活動はチームプロジェクトの集まり。ビアボーナスによって社員同士のコミュニケーションが円滑になれば、職場環境を良好に保持できます。この特徴を社員評価の仕組みに生かそうとする企業が年々増加しています。

このように、ピアボーナスは社内のコミュニケーション活性化に大きな役割を果たします。普段なかなか表面化しにくい成果も評価されやすくなるので、これまで光が当たらなかった社員や業務にもスポットが当たる機会にもなります。

一方、仕組みを導入するためのコストが必要になってくるのも事実です。
ピアボーナスを運用するためには、以下のようなツールを導入するのが便利です。また、カタログギフトや金銭等を報酬とする場合には、原資を用意しなくてはいけません。

現在、ピアボーナスには様々なツールやサービスが提供されています。導入する際には、利便性、機能、報酬システム等、どれが自分の会社に合っているのかを見極める必要があります。
ここでは、おすすめのツール3点をご紹介します。

Unipos
共に働く仲間やスタッフ同士が仕事の成果や行動を賞賛し、少額のボーナス(ピアボーナス)を贈り合えるWebアプリ。定量的な評価だけではなく、定性的な気持ちや労いのメッセージも贈れることが大きな特徴です。
https://unipos.me/

incentive point
現金などの代わりに独自の「インセンティブ・ポイント」を付与することで、日々の頑張りや貢献を適正に評価できるポイントシステムです。単なる「モノ」だけでなく、プレミアムな体験ができるサービスなど、多種多様なアイテムとの交換が可能です。
https://bs.benefit-one.co.jp/incentivepoint/

THANKS GIFT
→社内で感謝や称賛、応援をおこなうためにコインを贈りあうことができる社内プラットフォーム、社内向けビジネスチャットツールです。
https://thanks-gift.net/function/thanks-card/

【サンクスカード】
日々の業務の中で、ちょっとした感謝の気持ちや、賞賛されるべき行動を取った社員に対して、社員同士が感謝の気持ちを紙やデジタル上のカードで送り合う制度をいいます。

「昨日は私の業務を手伝ってくれてありがとうございました。」、「○○さんがまとめてくれた資料のおかげで、お客様からお褒めの言葉をいただきました。」というような感謝の気持ちを伝えることで、伝える側の社員も受け取る側の社員も、ポジティブな気持ちになります。

サンクスカードは「ありがとうカード」と呼ばれることもあり、組織内のコミュニケーションの活性化にもつながります。

サンクスカードのツール

チームステッカー
業務中のふとした感謝や称賛を、感情の伝わるステッカーとメッセージで伝えられるツール。 Microsoft Teamsと連携することで、導入や継続もスムーズ。 特別な感謝の表現として、デジタルギフトを贈りあうことも可能です。
https://www.teamsuite.biz/

RECOG
サンクスカード(レター)を送るとポイントが貯まる仕組みになっているため、自発的に感謝や称賛を伝える文化が醸成されます。
https://www.recog.works/ja

GRATICA
動物のイラストや季節ごとのイベントなど、1,000種類以上のサンクスカードから好きなデザインが選べます。また、社内のサンクスカードのやり取りは、オンライン上で共有することができるので、社員同士の関係性を可視化する事もできます。
https://gratica.jp

シナジーHRサンクス
日頃の貢献に感謝を伝え、社員の信頼関係を強化、強い組織作りをサポートします。 シンプルな操作で誰でもすぐに使えるサンクスカードツールです。
https://synergyhr.jp/thankstool/

賞の種類

賞の種類も、会社ごとに自由に決めることができます。賞としての重みを出すために定番の表彰を続ける事にも意味がありますし、ユニークなオリジナルの賞を作っても新鮮さが出ると思います。

一般的な賞からユーモアのある賞まで、業界・業種問わず取り入れやすいものをピックアップしてみたので、ぜひ参考にしてみてください。

  • 年間MVP賞
    年間MVP賞は、年度を通して最も会社に貢献したり、活躍した社員を表彰する制度です。「営業成績が良かった」「会社に価値をもたらす事業を推進した」など、活躍した個人やチームを讃えます。
    一般的に業績や成果が数値化しやすい営業系の仕事で導入されることが多い表彰です。
  • 目標達成賞
    会社や部署単位で、あらかじめ達成したい目標を決めておき、それが達成された時に表彰される賞です。MVPのように特定の能力が秀でている人だけでなく、目標という具体的なゴールが明確になっているため、多くの社員に獲得できるチャンスがあります。
    「SNSでバズらせた」や「新商品がヒットした」色々な部署の人の活躍を評価することができるので、公平感を出すためにはオススメの賞です。
  • 新人賞
    その年の最も優秀な新入社員に対して表彰するのが、新人賞です。その年に入社した新人から、他の新人のお手本となるような人を選び、表彰します。スポーツや文学の世界でもお馴染みの制度で、今後の会社の担い手として活躍することへの期待が込められています。
    同期が比較対象になるため、入社後のモチベーションアップも期待できる表彰制度です。
  • 大失敗賞
    優秀な成績や大きな実績を残した社員を讃えるのではなく、「失敗」した社員を表彰する賞です。これはその会社に「失敗を恐れず果敢にトライする姿勢」という企業理念があるためです。
    社内には、柔軟な姿勢で業務に取り組める雰囲気が出来上がり、チャレンジ精神旺盛な社員が育成されるのです。
  • 褒め大臣賞
    周囲の人を褒めて社員の成長を助長できる人に贈られる表彰制度です。
    高い褒め力を持つ人を表彰することで、周りの社員の成長促進を狙っています。褒め上手な社員が増えることにより、社内の士気も上がります。
  • 永年勤続賞
    企業に長く勤めた従業員に贈られる勤続賞。企業にとっては労いと感謝の気持ちを伝える場であり、従業員にとっては、年数ごとの区切りとして達成感が得られ、今後のモチベーションにも繋がります。

この制度には、企業への貢献度が数字でわかりやすい営業部などの従業員だけでなく、企業全体の社員に光が当たるというメリットがあります。

記念品の種類

表彰への参加意欲を高めるために、従業員にとって魅力的な景品を用意することは重要です。
例えば、人気の高い景品には以下のようなものがあります。

  • 金一封
  • 商品券(ビール券、百貨店の商品券、図書カード、クオカードなど)
  • 特別休暇
  • 社員旅行
  • 賞状や盾、トロフィー
  • 最新家電
  • カタログギフト

記念品の種類

(引用元:https://www.luna-kobo.com/app/Blogarticleview/index/ArticleId/14

景品を選ぶ際のポイントとしては、「もらって嬉しいもの」、「モチベーションが上がるもの」、「社内表彰制度の価値を高めるもの」という3点を押さえておきましょう。

さらに、複数の景品から選べるようにしたり、事前に従業員にアンケート調査を行うのもおすすめです。充実した社内表彰制度は、従業員にとって魅力のある景品があってこそのものです。事前検討は念入りにしておきましょう。

4. すぐに実践できる!社内表彰制度導入のポイントと注意点

社内表彰を導入する上でのステップと留意点をご説明します。

1. 導入目的を明確化する

社員のモチベーションや生産性の向上という目的を自社に当てはめ、「どのような姿勢で取り組んでも欲しいのか」「会社がどのような社員像を求めているのか」を具体化します。
それにより、実現するために適切な制度や褒賞の内容が決まってきます。

2. 運用ルールの整備

表彰の種類、選考基準、選考実施者、選考対象者、褒賞の内容等、制度概要を決定します。
ステップ①で決めた目的につながる制度かどうか?という観点で考えると良いでしょう。
それぞれを決めるポイントをご説明します。

●表彰の種類

表彰の種類は、目的によって決めます。目的に応じて制度設計が大きく異なるからです。

例えば、「長い間会社に貢献してくれる社員を称えたい」という目的であれば、勤続年数が重要になるため、永年勤続表彰や定年退職表彰のような制度が望ましいでしょう。この場合、記念品の授与や特別休暇の付与が賞として一般的です。

一方、「会社の行動指針に合致する社員の姿勢を評価したい」という目的であれば、数値に表れにくい行動を取り上げることがポイントになります。そのため、投票制度やピアボーナスのような制度を設け、褒賞はMVP賞というように、内容が一見してわかるようなものがおすすめです。

ポイント

毎回決まった社員ではなく、できるだけ色々な社員が受賞できるような賞を設ける。

●選考基準

営業成績や勤務年数のような客観的に数値で比較できるものは基準が明確です。

一方、行動や改善提案を評価する場合には、評価項目を複数設けた上で点数制にするという工夫が必要です。

ポイント

公平性を出すために、数値化・可視化できるようにする。

●選考実施者

表彰対象者の選考は、経営陣が中心になって実施することが一般的です。

定性的な選考を行う場合には、投票制や合議制とする、推薦形式にするなど、選考者の人数をあえて増やすことで参加意識を高めたり、公平性につながるといったメリットもあります。

ポイント

人数を増やす際は、あらゆる角度からの意見を取り入れられるよう、色々な部署の社員を参加させる。

●選考対象者

モチベーションのアップという観点からは、対象者を正社員のみにするのでなく、契約社員やアルバイト、パートタイマー、インターンを含めた全社員を対象にすることが望ましいです。
ただし、「新人賞」の場合は、「入社日から1年以内」など、対象範囲を明確にしておく必要があります。

ポイント

会社と社員にとって価値のある表彰であるために、「自分にも平等にチャンスがある」と思ってもらうようにする。

●褒賞の内容

表彰制度には、社員の承認欲求を満たし、モチベーションをアップさせるメリットがあります。
褒賞が魅力的でなければ、その効果を発揮しづらいものですので、一定額以上の金銭が最も一般的です。

ポイント

褒賞に魅力がないとモチベーションが下がる。わからない場合には、社内アンケートを実施する。

3. 社員への周知・説明

作成した制度を表彰規程に明記し、社内周知を行います。

規程には、社員表彰制度の目的、表彰の種類、基準、対象者、時期などを明記します。

なお、表彰制度を設けた場合、就業規則の必要記載事項に当たります。詳細は別規程にすることも多いですが、透明性や公平性の観点から、少なくとも上記内容については、書面で全社員に知らせるようにしましょう。

4. 運用後のフィードバック

社内表彰制度は自由度が高いものであるため、勤続年数表彰や定年退職表彰など客観的なものを除けば、実施した当初から完璧なものが出来上がることはまずありません。

実施した表彰制度に対するフィードバックを社員から取得するようにし、改善していくことが必要不可欠です。

フィードバックの取得方法としては、例えば、表彰内容に対する感想や次回表彰に向けた決意表明をもらう、選考基準の透明性や納得感に関して簡単なアンケートを実施する、というようなことが考えられます。

5. コラム〜社内表彰の記念品は、課税対象になるの?〜

日頃の業務に対する感謝の気持ちを示す記念品とはいえ、金額に関わらず、会社が進呈する現金や金券等には税金がかかります。

社員は、以下の支給区分によって「給与所得」「一時所得」「雑所得」のいずれかで課税されます。

  • 給与所得
    通常の職務の範囲内で支給されるもの。例えば、売上拡大、業務の改善、コスト削減など、職務上の成果に対する表彰・賞品。
  • 一時所得(最大50万円まで非課税)
    通常の職務の範囲外かつ一時的に支給されるもの。例えば、勤務時間内の人命救助や趣味的な社内コンテスト(社内報に掲載するコンテンツアイデア)などの成果に対する表彰・賞品
  • 雑所得
    通常の職務の範囲外かつ継続的に支給されるもの。例えば、業務上有益な発明や実用新案登録等の成果に対する表彰・賞品
    会社側は「福利厚生費」として払い出しを行い、給与所得で課税される場合のみ源泉徴収が必要となります。また、課税対象となるのは現金だけでなく、商品券やカタログギフトなども含まれます。
    金一封以外でも、換金性の高いものを贈る場合は注意が必要です。

(参考:国税庁:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2592.htm

なお、お菓子やお花など金銭以外の物品に関しては、原則税金はかかりません。金銭を贈る場合と同様に、会社側は「福利厚生費」として払い出しを行います。

しかし、進呈する記念品の時価が相当額を超える場合は、所得として課税される可能性があります。 国税庁のタックスアンサーでは、創業記念などの記念品が課税対象とならない要件として以下の項目を挙げています。

  1.  社会一般的にみて記念品としてふさわしいものであること
  2.  処分見込価額による評価額が10,000円以下であること
  3.  一定期間ごとに支給する記念品は、おおむね5年以上の間隔をあけていること

金銭以外の物品であっても、上記に該当しない場合は課税対象となることに注意が必要です。

(参考:国税庁:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2591.htm

6. まとめ

本記事では、社内表彰制度とは何?という基本的な情報から、すでに導入して活用している企業の事例、具体的なアイデアや記念品等を紹介しました。

社内表彰制度を取り入れる時には、まずその目的と基準を明確にすることが重要です。

目的を達成するために、表彰制度の種類や褒賞の内容が即しているか、常に見直していく必要があります。まずはわかりやすいものから実施して、徐々に種類を増やしていくのも有効な手立てでしょう。是非、自分の会社に合った表彰を行うとともに、運用方法をしっかりと設計した上で導入してみてください。

適切に運用された社内表彰制度は、その企業の発展に大きく貢献してくれることでしょう。