社内での業務を円滑に進行させるには、社員同士の情報共有が重要です。
しかし、何かと手間がかかるため面倒に感じる行為でもあるのが現状です。
どれだけ情報共有を心がけていても、ただ慣習的に行っていて本当の重要性を理解していない人もいたり、
情報があっても上手く活かせる環境がなかったり、会社として目的が曖昧なままでは、本当の意味での情報共有はできません。
そこで今回は今一度見直したい、情報共有とは何か、どうしたら上手く行くのかをご紹介します。
実際に情報共有に自信がある企業実例とおすすめのツールも合わせてご紹介しますので、今後の業務に活かしてみてはいかがでしょうか。
【目次】
1. 情報共有の落とし穴!自社の情報共有を見直そう
1-1 情報共有が出来ない3つの理由
1-2 駄目な情報共有が分かるチェックシート
2. 【企業事例4選】情報共有の効率化を実現!
3. WEB便利!おすすめ情報共有ツール5選
4. まとめ
1. 情報共有の落とし穴!自社の情報共有を見直そう
今現在、社員同士での情報共有がうまくいっていないとの悩みがある場合、その根本的な原因を理解しているでしょうか?
情報は日々の業務で発生した出来事をメールやエクセルのシートを用いて共有するほか、会議や打ち合わせで直接伝えるスタイルが定番です。
このような情報共有は、だいたいの企業で日々行われていることと思います。
しかし、情報共有にあまりメリットを見いだせず、ただ面倒に感じている社員も少なくないのが現状です。実は情報共有がうまくいかないのは、次のように複数の原因が考えられるのです。
1-1 情報共有が出来ない3つの理由
①共有するのが面倒くさい
まず考えられるのが、実際に情報を共有するまでに時間や手間がかかってしまうことです。
営業を例に挙げると、毎日の訪問予定はスケジューラで管理、そしてその日の営業活動報告は上司へのメール、
クライアントの案件情報はエクセルを使っているなど、複数の情報共有ツールを使っている企業が少なくありません。
このように、情報を細かく仕訳していると1日に何度も情報を入力し、報告するまでに多くの時間が必要になります。
これは営業だけでなく、ほかの部署同士の情報共有でも同じ現象が起きていると言えるでしょう。
部署ごとに別のツールを使っていれば、部署同士の情報交換も容易ではありません。
情報の種類によってツールを使い分けていた結果、共有に時間がかかり情報の重要度が低いものは後回しにされ、
どんどん情報の鮮度が落ちてしまう可能性があるのです。
②情報共有がライバルへのチャンスになってしまう
特に営業部門で考えられるのが、情報共有そのものが周りのライバルにチャンスを与えてしまう可能性がある点です。
たとえば、自分が担当している顧客情報を詳しく入力しているスプレッドシートが、誰でも気軽に見られる環境だとします。
すると、ほかの営業担当社員がその情報をもとに、クライアントに商談を持ち込む可能性も考えられるのです。
つまり、情報は持っているものの、自分の成果を考えて共有はしたくないと考える人がいれば、情報はいつまで経っても表に出てきません。
自分が情報を独占していることで優位性を感じる人は、細かい情報共有を積極的に行わない傾向にあるのです。
③情報共有の重要性をチームが理解していない
情報共有が積極的に行われないのは、そもそも重要性を理解していないのも理由として考えられます。
情報共有のメリットは、社員同士のコミュニケーションの円滑化や、自分一人では気づかなかった問題点・視野狭窄な部分の開放、新しい考え方の会得、情報の流れが早い現代のビジネスにおいて
会社全体で戦っていく為の結束力など、仕事においても対人関係としてもとても重要な要素が挙げられます。
しかし、上の2つのように実際にはとても面倒くさい・不利になるような、デメリット部分が目立ってしまう為、
疎かにされがちなのです。
1-2 駄目な情報共有が分かるチェックシート
それでは、具体的にどんな状況がダメな情報共有を行っていると言えるのでしょうか?
ここまでのことを踏まえて、チェックシート式で一覧にしてみました。
当てはまる点が多い場合は、今一度情報共有のやり方を見直してみましょう。
□情報の発信が一方的(情報に対する上司から部下へのフィードバックがない)
□情報の共有にリアルタイム性がない(情報の鮮度が落ちている・古すぎる)
□情報共有のフォーマットがないため時間・手間がかかる
□5W1Hが欠けている
□文章そのものが長くムダが多い
□新しく発信された情報に気付くまで時間がかかる(通知機能がない)
情報は鮮度がいいうちに、相手にきちんと伝わらなければいけません。
本当に必要な情報のみを効率よく伝えるためには報告文書の書き方を見直すことも大切です。
たとえば5W1Hや結果、次のアクションなど必要な情報をわかりやすくまとめられるよう、
ある程度テンプレートを用意しておくと、チェックシートの悪い部分を改善できます。
〇情報共有すべき情報、しなくていい情報とは何か?
具体的にはどんな項目を積極的に情報共有すべきなのでしょうか?
しなくていい情報と合わせてまとめました。
情報共有すべき項目 | 情報共有しなくていい項目 |
・予約管理 ・宅配、郵送指示 ・社員一人ひとりのスケジュール ・顧客情報 ・案件情報 ・プロジェクトの進捗状況 ・今行っている業務 ・行う予定の業務 ・トラブル |
・顧客とのプライベートな会話内容 ・個人的な主観 ・前に起きたトラブルと同様のケース ・経営情報 |
社員一人ひとりが今何に取り組んでいるか、これから何をするのかといった業務の共有はもちろん、
商品の納期や顧客の情報など、誰でも知っておくべきことをしっかりとおさえることが大切です。
また、部下から上司への報告の場合、一度起きたことのあるトラブルについては報告しなくても対処してもいいラインを設けておきましょう。
細かい事まで毎回報告と確認が必要になると、仕事のスピードにも影響が出てしまいます。
どこまでを報告するか、どこまでなら部下に行動を一存するかラインを引いておくこともスムーズな情報共有を行う上でのポイントであり、上司と部下の信頼関係にもなります。
ただし、事後報告は必須ですよ。
デリケートなラインとして経営情報の共有があります。ここまで義務にしてしまうと、本来経営者が社員に知ってほしくない情報も伝えなければならない状況に陥る可能性があります。
経営状態の悪化が広まれば社員が経営者に疑問を生じ、モチベーションの低下につながりかねません。
しかし、伏せすぎても不信感が生まれてしまいます。
社員の結束力に影響が出るケースもあるので、どこまで情報共有をすべきなのかは慎重に検討していきましょう。
2. 【企業事例4選】情報共有の効率化を実現!
それでは、実際に情報共有を効率的に行っている企業をご紹介します。
どんな点を重視して情報共有をうまく行いたいのか、自分たちの会社と目的が似ている企業をチェックして、導入するツールを検討してみてはいかがでしょうか。
情報共有を強化した結果、どんな成果が出たのかもご紹介していますので、ぜひご参考にしてみてください。
〇効率化による時短に成功! シチズン時計株式会社
企業URL:http://citizen.jp/
世界を代表する時計ブランド、シチズンでは情報共有ツールとしてSKIPを導入しています。
その日のToDoの管理や、迅速な社員同士のやり取りなどの基本的な使い方のほか、シチズンならではの精密機器を手掛ける技術継承にも活用しています。
導入前はメールで情報共有をしていたのですが、メールをやめて全員が社内SNSを導入した結果、1日に読むメールが50通から17通にまで減少しました。
これによって1日に情報共有にかけていた1時間が削減され、ものづくりの現場において1時間の時短はとても効率化につながったと語っています。
また、導入以前は、1年前のメールを半日かけて探すなど、情報を見つけるまで膨大な時間を必要としていました。
しかし社内SNSにすることで必要な情報が検索しやすくなり、タスク管理を取り入れることで、過去のノウハウを新入社員が検索しやすい環境にもなったのです。
〇書類管理をシステム化して検索を効率化! NTT 東日本関東病院
企業URL:https://www.ntt-east.co.jp/kmc/
NTT東日本関東病院は、患者の診察のほか、感染対策室や臨床研修検査など、日本トップクラスの高度な医療技術を誇る企業です。
2014年からは文書管理の効率化のために、「intra-mart」というツールを導入しました。
関東病院の目的は、医療の質を高めて安全な医療文化を育成すること。
なかでも課題にしていたのが、膨大な量の文書と課題の管理でした。
それまでは各課によってパソコンで文書を作成し、複数の文書を見ながらの翻訳作業など、多大な労力をかけていたのです。
そこで、一度登録をすれば関連する情報すべてに反映される文書管理システムを導入しました。
たとえば、「感染」と検索すれば、病院にある膨大なデータの中からそれに関連するデータや文書、資料をもれなく検索できるようになったのです。
資料検索の手間を省き、医療研究など本来の業務に割ける時間が大幅に増加しました。
〇2つのツールの併用で情報共有の効率化! Supership株式会社
企業URL:https://supership.jp/
「nanapi」など有名ウェブコンテンツを運営しているsupershipは、業務の効率化のため情報共有の方法を工夫しています。
リアルタイムのチャットのようなやりとりを希望する場合は、グループチャットに特化した「Slack」。
ストックしておきたいデータは「Qiita」と2つのツールを使い、情報共有をしています。
Slackでは話題ごとにチャンネルを分けることで、会議の流れを誰でも把握しやすくしています。
また、Qiitaはドキュメントの共有をメインにしたツールで、基本的な業務に関するノウハウや、専門用語など社員がいつでも閲覧しているマニュアルとして活用しています。
ほかにも会議は最小人数で30分という短時間で終わらせ、会議の情報共有を効率化しているのもSupershipのこだわり。
資料を紙で配りプロジェクタで解説をするのは、それだけで20分以上もの時間が使われます。
1人が会議で必要な情報を読み上げるのではなく、資料を事前に共有し読んでもらうよう参加者に伝えることで、会議時間を短縮しています。
また、会議に参加する人数も最小限にとどめるために、議事録を見せるだけで済む人を会議から除くなど、ツールの導入以外にもさまざまな工夫で情報共有を効率化しています。
〇スカイプで遠方とのやり取りの効率化を実現! 東京地下鉄株式会社(東京メトロ)
企業URL:http://www.tokyometro.jp/corporate/profile/outline/index.html
東京メトロは東京都を中心に、約870名の従業員が働いています。
事務系の仕事以外にも、駅や線路の管理などの専門職がいるため、不在時でも迅速に情報共有ができる環境を課題としていました。
そこで、スカイプforBusinessを導入し、電話やメールの手間をかけずにメッセージだけで簡単にコミュニケーションをとれるよう変更したのです。
事業の性質上拠点が複数、しかも広範囲に分散する東京メトロだからこそ、このスカイプの導入で遠方とのやり取りの効率化を実現しました。
また、ユーザーのパソコン利用状況に応じて、「オンライン」「退席中」などの在籍状況もチェックできるため、通話ができるときは通話、退席中はメッセージを残すなど、状況に応じてコミュニケーション方法を変更しています。
3. WEB便利!おすすめ情報共有ツール5選
仕事の情報共有に役立つ便利なツールが続々登場しています。
ツールを利用すれば、過去のやり取りも記録できるため新入社員や中途社員への情報共有も容易です。
メールと違って、グループ内に一度に情報を発信できるので緊急時もスムーズにやり取りできるなど、専用ツールはメリットがたくさんあるため、情報共有の円滑化のためぜひ導入してみてはいかがでしょうか。
無料、もしくは格安で利用でき、手軽に導入できるシンプルなものを中心に5つご紹介します。
■チャットワーク
画像1
http://urx.blue/FJf4
サイト:http://www.chatwork.com/ja/
料金:無料、月額400円、月額2,000円
登録可能ユーザー数:200人
ビジネス向けチャットツールの王様、チャットワークはすでに10万を超える企業が導入しているツールです。
業務をクリック一つでタスク管理できるほか、ビデオ通話機能も備わっています。
チャット内に同じプロジェクトのチームを作成できるため、個人チャットのほかにチーム内での情報共有も通常のチャットの感覚で手軽に利用できます。
こちらは無料での利用はもちろん、グループチャット数を増やせる有料版も利用可能。
国内のサービスのため、英語が苦手な人でも操作を覚えやすいのもチャットワークの特徴です。
■WowTalk
画像2
サイト:https://www.wowtalk.jp/
料金:月額300円
登録可能数:制限なし
タイムライン機能、トークルームでのチャットなどSNS感覚で利用できる共有ツールです。
また、GoogleドライブやGoogleカレンダーなどのGoogleのサービスとも共有ができるため、スケジュールをGoogleカレンダーに入力すれば全社員での情報共有が手軽です。
Googleドライブは書類や画像のやり取りに活用できるため、1つで多くの業務がコンパクトに共有可能です。
■Chatter(チャター)
画像3
https://www.salesforce.com/jp/products/chatter/overview/
サイト:https://www.salesforce.com/jp/products/chatter/overview/
料金:無料もしくは月額1,500円
登録可能ユーザー数:制限なし
無料でも利用できる情報共有ツールです。
メンバー数の登録制限はなく、「いいね!」機能やコメントなど操作感覚はフェイスブックに近く誰でも手軽に利用できます。
また、ファイルのアップロード容量も有料契約なら無制限のため多くのデータ管理に役立ちます。
個人では100、組織では1,000までの膨大なグループ数を作成できるので、会社の部署ごとのグループを作成して、迅速な情報共有が可能です。
■サイボウズ.Live
画像4
https://live.cybozu.co.jp/overview.html
サイト:https://live.cybozu.co.jp/
利用料金:無料
サイボウズLiveはグループチャットのほか、掲示板、ファイル共有もできるグループウェアです。
無料でいくつもグループが作れるほか、300人まで参加可能です。
また、イベントでスケジュール登録と共有、ToDoリストも利用できるのでいつまでに誰が行うのか、完了している作業が何かを一目でチェックできます。
ファイルは1GBまで無料で保存もできるので、重要なデータをグループ内でしっかり管理できます。
■Googleハングアウト
画像5
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1404/09/news048.html
サイト:https://plus.google.com/about?hl=ja
料金:月額500円、月額1,200円
登録可能ユーザー数:制限なし
Googleが提供している情報共有ツールです。
GmailやGoogleカレンダーなど、ほかのGoogleの機能との共有も容易で、もともとGoogleアカウントを所持している人なら登録から利用までも容易です。
また、最大10人とやり取りできるテレビ会議機能「ハングアウト」もついており、ビデオチャットのようなリアルタイムでの情報共有が可能です。
ほかにもグーグル検索で地図や店舗情報が表示されるGoogle+ローカルへの登録ができるのも、Googleプラスの特徴。
こちらはGoogleプレイスに登録した場所も結果に出てくるので、取引先までの道のりなど外出先での情報管理にも役立ちます。
4. まとめ
情報共有は何をどこまで報告すべきなのか、そしてどんなツールを使うかによって、活かせる情報量が異なります。
スムーズな情報共有ができれば、社員同士のコミュニケーションの円滑化、モチベーション向上など多くのメリットが期待できます。
現在複数のツールを使っており、情報共有や活用に時間がかかっている場合は、会社の特性にあったツールに絞り、社員に浸透させることからスタートしてみてはいかがでしょうか。