「毎年一定数出てしまう内定辞退者を、なんとかして防止する方法が知りたい」
「内定通知を出しても、直前に辞退されたらと思うと、入社式まで気が気ではない」
企業の採用担当で、このようなお悩みを持つ方は多いのではないでしょうか。
結論から言うと、内定辞退を防止するには、あなたの企業が応募者にとっての第一志望になることが必要です。
「応募者にすでに第一志望の企業がある場合、こちらがいくら対策しても意味がないのでは?」
と思うかもしれませんが、就職活動中に第一志望を変える応募者は一定数存在するため、どんな企業にもチャンスはあります。
応募者から「この企業にどうしても入社したい!」と思ってもらえるよう、エントリー開始から内定後のアフターフォローまで、以下の4つのポイントを抑えた採用計画を立てましょう。
内定辞退防止に重要な4つのポイント |
効果 |
---|---|
①選考中・内定後の応募者の |
「この会社に入れば自分が成長・活躍できる」 というイメージを与える |
②社員との交流の場を設ける |
人間関係・自分に社風が合うか等の 入社前の不安を解消する |
③企業の理念・ビジョン・強みを繰り返し伝える |
共感・ファン化で惹きつける |
④業績・待遇などの情報を隠さず公開する |
マイナス面もきちんと伝えることで 誠実な企業として信頼される |
本記事では、企業の採用担当者に向けて、内定辞退を防止するために必要な基礎知識を徹底的に解説します。
データに基づいた内定辞退の現状から、内定辞退防止に向けた具体的なスケジュールの立て方まで詳しくお話ししているので、ぜひ最後までご覧ください。
【目次】
1.内定辞退を防止する4つのポイント
まずは、内定辞退を防止する4つのポイントについて解説します。
どのようなことに気をつけて採用計画を立て、選考を行えばいいのか、詳しく見ていきましょう。
1-1.【重要】選考中・内定後の応募者の振る舞いを評価する
選考中・内定後の応募者の振る舞いを評価するのは、内定辞退を防止するために最も重要と言えるポイントです。
応募者の良かったところや自社に合っていると感じたところを採用担当者がフィードバックすることで、「この会社に入りたい」という意欲に繋がります。
応募者の多くは、就職先の企業に対して「自分が成長・活躍できる場所」を求めています。
一方で、企業側から聞かれたことに答えるのが基本である就職活動において「ここで活躍できるかどうか」を応募者自身が判定するのは難しいというのが現状です。
次の例のように、採用担当者が客観的な視点から応募者の能力や可能性を提示しましょう。
【応募者の振る舞いを評価する一例】
「グループワークでの柔軟な発想が素晴らしいと感じたので、最終面接に来てもらった」
「面接で将来の展望を聞いて、上を目指す野心的なところが我が社に合っていると思った」
「あなたの〇〇な能力に期待して内定を出した。入社後はこういう仕事を任せたい」
採用担当者が応募者の可能性を見出し評価することで、「この会社なら自分が成長・活躍できる!」というイメージを持ってもらえ、内定辞退の防止に繋がります。
1-2.社員との交流の場を設ける
社員との交流の場を設けるというのも、内定辞退の防止に有効です。
多くの時間を過ごす職場において、社内の人間関係は非常に重要な要素です。
どんな人が社内にいるか・どんな人と一緒に仕事をするかのイメージが湧かなければ、応募者は入社後の人間関係に不安を抱えてしまいます。
もし人間関係がうまくやれそうな他社から内定が出ていた場合、そちらに行ってしまう可能性も十分にあるでしょう。
そういった事態を防ぐためには、次の例のような社内の人間と交流の場を設けて、応募者の不安を解消することが必要です。
【社員との交流の場を設ける一例】
・社内イベントやランチ会に内定者を呼ぶ
・内定者のオリエンテーションを実施する
・社内SNSを通してやり取りできるようにする
このような社内の人間との交流・内定者同士の交流の場があることで、社員と内定者の人間関係を構築でき、内定辞退の防止に繋がります。
1-3.企業の理念・ビジョン・強みを繰り返し伝える
内定辞退の防止に重要なポイントとして、「企業の理念・ビジョン・強みを繰り返し伝える」というものがあります。
長い就職活動期間の中で、応募者を繋ぎ止めておくために必要なのは、「この会社の一員になりたい」という熱意です。
企業の魅力を繰り返し伝えて応募者の共感・ファン化が進めば、多少待遇面が希望とマッチしなくても辞退されにくくなるという状況を作り出せます。
もし応募者が他にもいくつか候補の企業を抱えていて、給料や待遇で天秤にかけていた場合も、熱意によって頭一つ抜けた第一志望になれる可能性が高いです。
以下の例を参考に、段階的に企業の魅力をアピールしましょう。
【企業の理念・ビジョン・強みを繰り返し伝える一例】
企業説明会:第一線で活躍する社員の口から企業の魅力を伝える
一次選考:ブランドムービーを流し、競合他社にはない自社の価値を伝える
内定者研修:企業トップから会社設立の背景や達成したいビジョンの説明
応募者の共感・ファン化が徐々に進み、「絶対に入社したい企業」になれれば、内定辞退を防ぐことができます。
1-4.業績・待遇などの情報を隠さず公開する
業績・待遇などの情報を隠さず公開するというのも、内定辞退の防止が期待できるポイントです。
企業の将来性や待遇については、応募者が自分の人生を設計するために知っておきたい重要な部分である一方で、「聞いたら悪印象なのでは」と遠慮して聞けない部分でもあります。
そういったデリケートな情報を企業側から開示することで、誠実な企業だと認識してもらえ、応募者の信頼度が高まります。
【公開しておくことで信頼に繋がる情報の一例】
・企業の業績
・企業や業界全体の将来性
・給料
・福利厚生
・勤務地
・勤務時間(残業時間)
・休日
これらの情報は、内定後まで知らせないでおくと、応募者に不信感を与えます。
「思ってた条件と違う」と判断されてしまった場合、内定辞退に繋がる可能性も十分にあるため、できるだけ早い段階で明確にしておきましょう。
企業の強みも弱みも隠さず公開し、納得して入社してもらうことで、内定辞退の防止に繋がります。
2.データで見る内定辞退の現状
ここからは、データで見る内定辞退の現状について以下をお話しします。
- ・現代は他社と比較検討されやすい「売り手市場」
- ・内定辞退を完全に防ぐのは難しい
上記のデータを見ると、企業が完全に内定を辞退することを防ぐのは難しいことが分かります
そもそも内定辞退を防ぐのは難しいという現状を理解することで、企業にとって現実的な内定辞退対策を作りやすくなります。
ひとつずつ、詳しく解説していきますので、まずは内定辞退の現状についてしっかりと理解していきましょう。
2-1.現代は他社と比較検討されやすい「売り手市場」
現代は、求職者から企業側が比較検討されやすい「売り手市場」にあります。
2023年卒の求人状況に関するこちらのデータを見てみましょう。
参考:「第39回 ワークス大卒求人倍率調査(2023年卒)」
株式会社リクルートが2022年に実施した調査によると、2023年卒学生の民間企業の就職希望者数が44.9万人であるのに対し、求人総数は70.7万人・求人倍率は1.58倍であるという結果が出ました。
このデータから、現代は就職希望者に1人に対して1件以上の求人がある「売り手市場」であることがわかります。
就職希望者側に選ぶ余地があるということは、企業側は仕事内容や待遇など、あらゆる面で他社と比較されやすいというのが現状です。
【このデータからわかること】
・現代は就職希望者に1人に対して1件以上の求人がある「売り手市場」
・仕事内容や待遇など、あらゆる面で他社と比較されやすい
2-2.内定辞退を完全に防ぐのは難しい
続いて、「内定辞退を完全に防ぐのは難しい」という現状について、データを元に解説します。
就職希望者よりも求人の数の方が多い売り手市場の現代において、実際にどのくらいの人が企業の内定を辞退しているのか、新卒採用・中途採用それぞれの内定辞退率のデータを見てみましょう。
参考:「就職プロセス調査(2023年卒)」
「中途採用状況調査2022年版」
リクルートが2022年に行った調査では2023年卒の内定取得者のうち61.2%が内定辞退の経験があり、株式会社マイナビの2021年の調査では中途採用における内定辞退率が11.0%という結果が出ています。
これらのデータから、内定辞退を完全に防ぐのは極めて難しく、「6割以上の新卒は内定を辞退する」という現状を踏まえたうえで対策を立てる必要があります。
【このデータからわかること】
・内定辞退を完全に防ぐのは難しい(特に新卒は辞退される可能性が高い)
・辞退者が一定数出ることを踏まえたうえで対策を立てる必要がある
3.応募者が内定辞退する主な理由は「第一志望が他社だったから」
応募者が企業からの内定を辞退するのは、「第一志望が他社だったから」というのが主な理由です。
マイナビが2022年に実施した内定者意識調査では、内定を辞退した理由として、次のような回答が寄せられています。
内定辞退の理由(複数選択) |
|
---|---|
他社で内定が出た |
76.0% |
社風が自分に合わないと感じた |
25.9% |
元々志望度が高くなかった |
18.6% |
業界・職種が自分に合わないと感じた |
15.5% |
参考:「マイナビ 2022年内定者意識調査」
つまり、企業側に「面接官の態度が悪い」「企業説明がわかりにくい」といった落ち度がなくても、より志望度が高い企業が他にあれば内定を辞退されてしまうということです。
【第一志望の企業が他にある内定者の辞退は防げない?】
ここまで記事を読んで
「はじめから勝負が決まっているなら、内定辞退はどんな施策を練っても防ぎようがないのではないか」
と思うかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。
同調査のこちらのデータをご覧ください。
参考:「マイナビ 2022年内定者意識調査」
4割以上の学生が、就職活動の途中で第一志望の企業を変えているという結果が出ています。
第一志望の企業が他にある応募者でも、就職活動期間中に心境の変化があれば、あなたの会社に入社する可能性は十分にあると言えるでしょう。
内定辞退を防ぐために重要なのは、応募者の「内定辞退の理由」よりもむしろ、「第一志望の企業を決める理由」です。
求職者が第一志望の企業を決める理由については、次章で詳しく説明していきます。
4.求職者が第一志望の企業を決める5つの理由
求職者が第一志望の企業を決める理由は、主に以下の5つです。
- ・自分を成長させられそう
- ・希望する条件で働ける
- ・社内の人間関係が良さそう
- ・企業や業界に安定性がある
- ・企業の理念・ビジョンに共感できる
具体的にどういうことか、なぜ第一志望を選ぶ決め手となるのか、詳しく説明していきます。
4-1.自分を成長させられそう
求職者が第一志望の企業を決める理由として最も多いのが「自分を成長させられそう」というものです。
就職先を自己実現の場と考えている人は、会社はただ単にお金を稼ぐための場所ではなく、自分が日々成長していると実感できる場所であってほしいと考えています。
リクルートが2022年に行った調査では、就職先を確定する際の決め手に「自らの成長が期待できる」の項目を選んだ学生は47.7%という結果が出ました。
自己成長を重視する求職者には、
- ・教育制度が充実している
- ・特定のスキルが身につく・資格が取得できる
- ・若手社員でも活躍できる環境が整っている
といった特長のある企業が選ばれる傾向にあります。
4-2.希望する条件で働ける
「希望する条件で働ける」を理由に第一志望の企業を選ぶ人も、一定数存在します。
例えば
「奨学金返済のために初任給が高い企業を選びたい」
「家庭の事情で残業ができないから、残業のない会社を第一条件に選びたい」
このような状況にある人の場合、仕事内容ややりがいよりも、
- ・収入
- ・勤務地
- ・残業時間
といった働く上での条件が優先されやすくなります。
4-3.社内の人間関係が良さそう
「社内の人間関係が良さそう」というのも、求職者が第一志望の企業を決める理由のひとつです。
業種や仕事内容によって差はあるものの、企業という組織で働く以上、他者とのコミュニケーションは避けて通れません。
求職者は人間関係が良好な企業には
「働きやすそう」
「楽しく働けそう」
といったポジティブなイメージを抱き、反対に社内の人間関係が悪そうな企業には
「この会社では仕事を長く続けられないのではないか」
といった不安を感じます。
社内の人間関係は、実際に入社しなければわからない要素ではありますが、
- ・説明会や会社見学での社員同士の雰囲気がいい
- ・離職率が低い
といった企業は、人間関係を重視する求職者から第一志望に選ばれやすい傾向にあります。
4-4.企業や業界に安定性がある
求職者が第一志望の企業を決める理由のひとつに、「企業や業界に安定性がある」というものがあります。
- ・近い将来結婚してマイホームを建てたい
- ・親に心配をかけたくない・楽をさせたい
- ・安心して子育てがしたい
といった人生設計を描いている人の場合、先の見えない今の時代でも、職を失う心配がなく働ける環境を求める傾向にあります。
安定を求める求職者が第一志望に選びやすいのは
- ・老舗企業
- ・大手企業
- ・需要が途絶えない業界(インフラ系など)
といった、世の中の動きや流行に影響されにくい企業です。
4-5.企業の理念・ビジョンに共感できる
「企業の理念・ビジョンに共感できる」というのも、求職者が第一志望の企業を決める理由のひとつです。
自分個人の価値観と会社の経営方針が一致していることで日々の仕事にやる気ややりがいを感じるタイプの人にとって、理念やビジョンへの共感は非常に重要な要素です。
「自分の仕事に胸を張りたい」
「自分が心から良いと思える企業で働きたい」
といった強い理想を抱いている求職者は、企業のWebサイトや説明会で、理念について入念に調べてから第一志望の企業を選びます。
- ・事業を通した社会貢献など、企業理念が明確かつ利他的な企業
- ・事業内容と理念に乖離がない企業
- ・自社の魅力発信に積極的な企業
このような企業は、理念の共感を求める求職者とマッチしやすいと言えるでしょう。
5.【5ステップ】内定辞退者を防止する選考のスケジュール
ここからは、内定辞退者を防止する選考のスケジュールを5つのステップで解説します。
選考過程 |
内定辞退防止のために企業がやること |
|
---|---|---|
4月 |
エントリー開始 |
STEP1.企業説明会で自社の魅力を発信して 参加者の心を掴む |
5月 |
||
6月 |
選考 (面接・グループディスカッションなど) ※この時期に他社からの内々定が出始める |
STEP2.一次面接で応募者が欲しい情報を できるだけ詳しく開示する STEP3.二次・三次面接で企業と応募者の マッチングを徹底的に行う |
7月 |
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8月 |
||
9月 |
||
10月 |
内定通知・内定式 |
STEP4.採用の理由と今後の期待を添えて内定を出す |
11月 |
内定者のアフターケア |
STEP5.内定後は社員や内定者同士の交流の場を設ける |
12月 |
||
1月 |
||
2月 |
||
3月 |
||
翌年4月 |
入社式 |
ー |
上のスケジュール表を元に、内定辞退防止のために企業側はどんな順番で何を行えば良いのか、ひとつずつチェックしていきましょう。
5-1.STEP1.企業説明会で自社の魅力を発信して参加者の心を掴む
まずは、企業説明会で自社の魅力を発信して参加者の心を掴みます。
就職活動が始まって間もない頃は、自分の希望や方向性が定まっていない学生も多く、
「応募するかはわからないが、なんとなく気になって説明会に立ち寄ってみた」
「第一志望は別の企業だが、第二志望・第三志望の企業を探しに説明会を回っている」
「どんな企業に就職したいか全く定まっていないから、手当たり次第説明会に参加している」
といった、入社への意欲が低い状態で説明会に参加している可能性が高いです。
このような参加者の心を掴み「この企業は他と違う」と思ってもらうためには、Webサイトで調べればわかる情報をただ話すだけではなく、自社の魅力がしっかりと伝わる説明会を行う必要があります。
【企業説明会で自社の魅力を伝える方法(一例)】
新人でも活躍できる環境が魅力の企業
→第一線で活躍する若手社員の生の声が聞ける体験談・座談会を設ける
最先端のIT技術を取り入れた事業が魅力の企業
→オリジナルのアバターやブースをオンライン上に構築し
他社では真似できないオンライン説明会を実施する
ラフな社風が魅力の企業
→社長自らがTシャツ姿で登壇する
役職や年齢の垣根を超えて意見し合える風通しの良さが魅力の企業
→「何を聞いてもOKの質疑応答」など、参加者を巻き込んだコーナーを設ける
上の例のように、自社の熱量や空気感が伝わる工夫をすれば、説明会の段階で「意欲の低い参加者」を「自社のファン」にすることが十分に可能です。
5-2.STEP2.一次面接で応募者が欲しい情報をできるだけ詳しく開示する
エントリーを締め切って選考が始まったら、一次面接の段階で応募者が欲しい情報をできるだけ詳しく開示します。
企業が応募者を一方的に審査するのではなく、お互いの情報を開示・交換する場として面接を行うことで、応募者から「対等に扱ってくれる誠実な企業だ」と信頼してもらえます。
応募者が入社する前に知っておきたいであろう
- ・業務内容
- ・給料
- ・勤務時間
- ・勤務地
- ・福利厚生
- ・企業の経営状況
- ・業界や企業の課題
といった情報を、良い面も悪い面も包み隠さず伝えましょう。
【弱みを隠すのは逆効果?残業時間が長い企業の例】
同業他社と比べて残業時間が長いことが弱みである企業の場合、「繁忙期は多少残業することもある」といった曖昧な表現でごまかさず、事実をそのまま伝えるのがベターです。
都合の悪い情報を濁してしまうと、応募者から「何か裏があるのではないか」といった不安や不信感を抱かれ、せっかく内定を出しても辞退されてしまうリスクが高まります。
「希望の条件とはややマッチしないが、それでもここに入社したい!」と思ってもらえる、誠意ある対応を心がけましょう。
「入社後の具体的な業務内容や待遇については、できるだけ早めに知っておきたい」という応募者の願望に寄り添いながら選考を進めていくのは、内定辞退の防止に有効な方法です。
5-3.STEP3.二次・三次面接で企業と応募者のマッチングを徹底的に行う
二次・三次面接では、企業と応募者のマッチングを徹底的に行います。
企業と応募者のマッチングとは、具体的には次のようなものです。
企業 (採用担当者) |
「なぜこの人を二次選考・三次選考に進めたのか」を明確にする |
---|---|
応募者 |
「なぜこの企業を志望するのか」を掘り下げる |
このような、表面的な受け答えから一歩進んだすり合せ・対話を行うことで応募者が「この企業に入れば自分を成長させられる」とイメージしやすくなり、第一志望の企業に選ぶ可能性を高められます。
次の例を参考に、二次・三次面接の中に企業と応募者のマッチングが行えるような要素を取り入れてみましょう。
二次・三次面接で企業と応募者のマッチングを行う例 |
|
---|---|
二次面接 |
|
応募者側 |
一次面接で答えた志望動機を、一段階掘り下げて再考してもらう 例) |
企業側 |
一次面接で評価したポイントを交えて、応募者の志望動機にコメント 例) ・学びたい・成長したいという意欲のある社員には、積極的にスキル取得の支援をする など |
三次面接 |
|
応募者側 |
これまでの選考を振り返って |
企業側 |
一次・二次面接で評価したポイントを交えて |
このように、
・自分の中で深く納得したうえでこの企業に入りたいと思える
・採用担当者から選考中の自分の振る舞いをフィードバックしてもらえる
といった要素を面接の中に取り入れることで、応募者は他社にはない自己成長のイメージが持てるようになります。
5-4.STEP4.採用の理由と今後の期待を添えて内定を出す
選考を終えたら、採用の理由と今後の期待を添えて内定者に内定を出します。
内定を出した人が他社からも内定をもらっている場合、「自分にはこの会社しかない」という確信を持ってもらうことが非常に重要です。
採用が決定したことを事務的に伝えるだけではなく、
- ・なぜ採用したのか
- ・入社後はどのような活躍を期待しているか
- ・どのような仕事を任せたいか
といった内容も併せて伝えることで、入社を決意する可能性が高まります。
郵送やメール・電話で伝える他に、内定式で社長が口頭で伝える、といった方法も効果的です。
5-5.STEP5.内定後は社員や内定者同士の交流の場を設ける
内定後は、社員や内定者同士の交流の場を設けます。
内定通知から入社までに長い場合は約半年間の空白期間が空くことになるため、この期間に内定者は「うまく働けるだろうか」と不安を感じたり、他の企業に目移りする「内定ブルー」に陥ることがあります。
内定者が安心して入社日を迎えられるよう、積極的に交流の場を設け、不安や迷いを解消するアフターケアをしましょう。
内定者のアフターケアに有効な交流方法(一例) |
|
---|---|
既存社員向けのイベントに内定者を呼ぶ |
・くだけた場所に内定者を呼ぶことで、リラックスしたコミュニケーションが取れる ・社員の人柄や者の雰囲気を知れる ・入社に不安や迷いがある内定者には、若手社員が積極的に相談に乗る |
社内SNS・社内報アプリの |
・遠方などの理由からイベントに参加できない内定者も オンラインでコミュニケーションが取れる ・組織図や社内制度といった社内のことが知れる ・内定者同士で気軽な交流できる |
入社前オリエンテーションを実施する |
・内定者同士で交流することで同期の仲間意識が生まれる ・電話対応やビジネスマナーなど、業務面での不安をフォローできる |
こうしたオンライン・オフラインの交流の場を複数設けることで、「内定ブルー」を防ぎ、入社直前での内定辞退のリスクを減らせます。
【入社前から社内の雰囲気を体感できる「社内報アプリ」】
企業内の情報をオンライン上に集約する「社内報アプリ」は、内定辞退防止のコミュニケーションツールとして有効です。
内定者にアカウントを発行すれば、次のような社内の情報を入社前に閲覧することができます。
・社員一人ひとりの詳細なプロフィール
・進行中のプロジェクトの内容
・社内イベントの様子
・役員からのメッセージ
内定者同士・既存社員との連絡ツールとしても使えるため、こまめにコミュニケーションを取ることで内定者の不安解消も期待できます。
6.内定辞退を防止する企業の取り組み事例3選
最後は、内定辞退を防止する企業の取り組み事例を3つ紹介します。
- ・「社員面談」で応募者の迷いに寄り添う|株式会社プレシャスパートナーズ
- ・オンライン研修で内定者の意欲アップ|プロパティエージェント株式会社
- ・自社開発ツールで入社前の不安を解消|サイボウズ株式会社
世の企業が内定辞退防止に向けて実際にどのような取り組みを行っているのか、詳しく見てみましょう。
【内定防止の取り組み事例①】 |
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---|---|
業種 |
人材サービス業 |
従業員数 |
105名 |
事業内容 |
採用コンサルティング事業 求人広告事業・人材紹介事業・就活イベント事業 |
内定辞退防止の取り組み |
最終面接の前に応募者の本音を聞く「社員面談」 ・最終選考まで進んだ応募者には面接前に「社員面談」を行い、今の心境を一度立ち止まって一緒に整理する ・迷いのある応募者には、なぜ迷うのか、自分の目標をこの企業で達成できるのかを話し合う →「選ぶ側」と「選ばれる側」の壁を取り払うことで、企業と応募者の間で信頼関係が生まれ、ここで働きたいという熱意が生まれる |
【内定防止の取り組み事例②】 |
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---|---|
業種 |
不動産業 |
従業員数 |
375人 |
事業内容 |
DX不動産事業・DX推進事業 |
内定辞退防止の取り組み |
コンテスト形式のオンライン内定者研修「S-1グランプリ」 ・内定者をチーム分けし、営業力を競うコンテストをZoomで実施 ・顧客情報のインプット・戦略MTG・商談ロールプレイといった実務の疑似体験をしたうえで、先輩社員がお手本を見せる →チーム戦によって内定者同士の団結力が生まれ、先輩社員や他の内定者から刺激を受けることで仕事への意欲向上に繋がる |
引用:【オンライン内定者研修】S-1グランプリ開催しました!
【内定防止の取り組み事例③】 自社開発ツールで入社前の不安を解消|サイボウズ株式会社 |
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業種 |
情報通信業 |
従業員数 |
1,115名 |
事業内容 |
グループウェアの開発、販売、運用 |
内定辞退防止の取り組み |
内定者をフォローする自社開発システム「kintone」 ・自社開発のシステムに内定者がログインできる状態にして、社内の情報を入社前から共有 ・既存社員・内定者同士でのコミュニケーションも取れる →企業で行われていることがリアルタイムにわかる、やりとりできることで人間関係や仕事内容への不安を解消 |
上の3社の事例からわかる内定辞退の防止策のポイントは、次の通りです。
- ・選考段階から応募者との信頼関係を築く
- ・実践的な内定者研修で仕事への意欲を高める
- ・オンラインツールで不安を入社前の解消する
特にオンラインツールの活用は、入社直前の内定辞退を防止する有効な方法として注目されています。
しかし、自社で一からシステムを開発するのは難しいという企業も多いのではないでしょうか。
そこでおすすめしたいのが、手間をかけず簡単に導入できる「社内報アプリ」です。
7.内定辞退防止に有効な社内報アプリ「WORKSTORY」
内定承諾から入社までの空白期間で辞退されてしまうのを防ぐには、社内の情報共有やコミュニケーション機能が付いたオンラインツールが有効です。
しかし、
「内定者フォロー用のオンラインツールをどうやって用意したらいいかわからない」
「社外に情報が漏れるリスクを考えると、既存のSNSは使用したくない」
といった理由から内定者フォローの方法に頭を悩ませるケースも多いのではないでしょうか。
そんなお悩みを解消できるのが、内定辞退防止ツールとして活用できる社内報アプリ「WORKSTORY」です。
「WORKSTORY」とは? |
---|
社内のあらゆる情報を共有し、社員同士のコミュニケーションを活性化させるDXツール |
内定辞退防止にどう役立つ? |
入社前の不安を解消する機能が充実 ①社内のあらゆる情報にアクセスが可能
・企業の理念 ・既存社員のプロフィール ・社内構成がひと目でわかる組織図 ・社内イベントの様子 社内の雰囲気や日々の業務の様子を見られることで、入社後の働くイメージが湧きやすくなる ②既存社員・他の内定者とコミュニケーションが取れる
社内の人間だけが閲覧できるクローズドな環境のため、内定者自らが自己紹介等の投稿をするハードルも低く、内定後の空白期間も持続的なやり取りが可能に |
内定辞退防止策としてオンラインツールの導入を考えている場合は、ぜひ「WORKSTORY」の活用をご検討ください。
8.まとめ
最後に、本記事の重要ポイントをおさらいしましょう。
▼内定辞退を防止する4つのポイント
・選考中・内定後の応募者の振る舞いを評価する
・社員との交流の場を設ける
・企業の理念・ビジョン・強みを繰り返し伝える
・業績・待遇などの情報を隠さず公開する
→この4つの要素を採用計画に落とし込むことで、内定辞退のリスクを最小限に抑えられる
▼データで見る内定辞退の現状
・現代では「売り手市場」が長く続いており、2023年卒の求人倍率は1.58倍で
・2023年卒の内定取得者のうち、61.2%が内定辞退の経験がある
→売り手市場が続く以上、内定辞退は一定数出るもので、完全に防ぐのは極めて難しい
→内定を辞退されないためには、求職者にとっての「第一志望の企業」になる必要がある
▼求職者が第一志望の企業を決める5つの理由
・自分を成長させられそう
・希望する条件で働ける
・社内の人間関係が良さそう
・企業や業界に安定性がある
・企業の理念・ビジョンに共感できる
→満たせる要素はアピールし、満たせない要素は他の強みでカバーすれば、第一志望の企業になることは十分に可能
▼【5ステップ】内定辞退者を防止する選考のスケジュール
・STEP1.企業説明会で自社の魅力を発信して参加者の心を掴む
・STEP2.一次面接で応募者が欲しい情報をできるだけ詳しく開示する
・STEP3.二次・三次面接で企業と応募者のマッチングを徹底的に行う
・STEP4.採用の理由と今後の期待を添えて内定を出す
・STEP5.内定後は社員や内定者同士の交流の場を設ける
→応募者の就職活動における不安や迷いを解消し、自己成長のイメージを明確にすることで、「自分にはこの会社しかない」と思ってもらう
本記事の内容を参考に、あなたの会社の内定辞退防止策が成功し、気持ちよく入社式の日が迎えられることを願っています。