社内報は企業から社員への情報発信の手段の一つとして使われてきました。
現在、媒体は紙に止まらず時代を反映したツールとしてWEB社内報という新しいサービスも登場しています。
そして、媒体を問わず社内報をつくるうえで目的やメッセージを伝えるためにデザインは大きな役割をはたしています。
この記事では、
「目的やメッセージを伝えるためにはどのようなデザインがいいのか、何をすればよいのか分からない。」
という方のために、手段や媒体、デザインの着目ポイントまでデザインを通して社内報を完成するために必要な情報やヒントをご紹介します。
この記事を読めば、外注先、テンプレート、WEB社内報サービスの情報から見出しやフォント、レイアウトなどデザインに関するノウハウまで知ることができます。
デザインを工夫することで、伝えたいメッセージや目的を文章の内容だけでなくビジュアル(見た目)から表現(訴求)できる社内報を完成することができるでしょう。
【目次】
1. 社内報とは
一般的に多く利用されてきた紙媒体とスピーディーな情報共有ができるWEBの2種類が主な媒体となります。
紙とWEBのどちらを選択したとしてもプロにお任せする外注と社内のスタッフで作成する内製があります。
紙とWEB、外注と内製のそれぞれにメリットとデメリットがあり、 目的や自社の状況、予算などに応じて選択することができます。
最初に、それぞれにメリットとデメリットがあるため確認してみましょう。
1-1. 紙で発行するメリットとデメリットとは?
時間やコストがかかるデメリットがあるものの自社で作成することも可能で社内報を閲覧することに制限がないメリットがあります。
具体的に紙のメリット・デメリットを見ていきましょう。
【メリット】
- ・モノとして愛着が湧きやすい
- ・社員だけでなく、社員の家族や入社を希望する学生など対象を選ばず簡単に共有可能(閲覧制限がない)
- ・閲覧する環境に影響されない
- ・デザインの幅は無限大
【デメリット】
- ・社員が読んでいるのかが分からない(閲覧者の反応が分からない)
- ・全社員の手元に届くまで(周知に)時間がかかる
- ・発行までに時間がかかる
- ・発行・配送コストがかかる
- ・デザインを一から作る必要がある
- ・管理コストがかかる
- ・社員同士の交流がしにくい
時間やコストがかかるデメリットはある一方、一度完成すれば誰でも手に取ってみることができるメリットは人を問わず会社のメッセージを伝えたいといった場合に大きな利点となります。 予算をかけることができ多くの人に情報を共有したい大きな企業は紙が向いているかもしれません。
1-2. WEBで発信するメリットとデメリットとは?
閲覧環境や情報を共有できる範囲に制限があるデメリットがある一方、スピーディーな情報共有やコストが抑えられる点などメリットがあります。 具体的にWEBのメリット・デメリットを見ていきましょう。
【メリット】
- ・データの集積・分析ができる
- ・スピーディーな情報共有ができる
- ・情報の共有が容易にできる
- ・配信後の修正や追記が容易にできる
- ・作成・管理のコストがかからない
- ・ペーパーレス化により過去の記事など一元管理できる
- ・SNSや動画との連携ができる
- ・デザインテンプレートがあり便利である
- ・コメントなどで相互コミュニケーションができる
【デメリット】
- ・デザインレイアウトの制限がある
- ・社員に限定される場合もあり、社員の家族や入社を希望する学生など社外の人にも伝えたいとき共有(外部共有)し辛い
- ・閲覧のための機器が必要となる
- ・閲覧環境が制限される
- ・WEBの知識が必要となる
- ・ランニングコストが必要な場合がある
閲覧環境に制限はありますが、スピーディかつ容易に情報が共有できる点では複数の拠点がある企業が情報の告知や社員間のコミュニケーションを活性化するためには有効な手段になります。 予算をかけられずスピーディーな情報を共有したい中小企業や支店や店舗など複数ある企業はWEBが向いているかもしれません。
1-3. 外注の利用で社内報を作成するメリットとデメリットとは?
費用やイメージの相違が起こる可能性があるデメリットがある一方、担当者の負担が少なくかつプロのクオリティで高品質の社内報が提供できるメリットがあります。 具体的に外注によるメリット・デメリットを見ていきましょう。
【メリット】
- ・本来の業務に集中できる
- ・プロのクオリティで提供できる
- ・他社の事例を参考にできる
【デメリット】
- ・費用がかかる
- ・自社の雰囲気を反映することが難しい
- ・イメージ違いや面白味にかける可能性がある
- ・成果物を随時チェックする体制と知識が必要
イメージの相違からイメージと異なる社内報になる可能性があるデメリットがある一方、外注先と密な連携や会社のイメージを細やかに伝えることで高品質の社内報を完成することができ、結果として伝えたいメッセージを上手に表現することができます。
1-4. 内製で社内報を作成するメリットとデメリットとは?
リソースの確保や専門的知識、クオリティの維持などデメリットがある一方、コストを抑えたうえでイメージの相違が少ない社内報ができるメリットがあります。 具体的に内製のメリット・デメリットを見ていきましょう。
【メリット】
- ・社風を加味した社内報を作成できる
- ・コストを抑えられる
- ・社内交流を促進させる
- ・外部とのコミュニケーションに必要な時間や手間を削減できる
【デメリット】
- ・専門的なスキルが必要
- ・企画・知識の習得に時間がかかる
- ・人的・時間的・技術的リソースを要する
- ・クオリティが担保できない
- ・クオリティを上げるために人や技術、設備などに対して投資が必要となる場合がある
人、時間、技術面でのリソースが必須であるデメリットはある一方、認識のずれもなく自由に自社を表現できることから手に取った社員や関係者が愛着を持つことができます。
このように目的や企業の状況によって選ぶ選択肢は大きく変わります。
コストやリソースの問題がなければ紙とWEBの両立という方法もあります。
最初に、上記を踏まえてどの方法が自社に相応しいのか考えてみましょう。
この後の章では、事例の紹介から社内報を完成させるための手段としてWEB社内報、内製する手段の一つになるテンプレート、外注について紹介していきます。
さらに、デザインで役立つTipsでは実制作だけでなくデザインを見るためのヒントになる情報をご紹介します。
2. 自社に合うデザインを見つけるには
目的やメッセージを伝えるためにコンテンツの内容だけでなく、デザインも大きな役割を果たしていますが、自社のイメージに合うデザインを1から作り上げることは大変な作業になります。
社内報やパンフレットなど既に発行されている冊子から自社のイメージや企画に近いデザインを見つけて参考にすることは限られた時間で進めていくうえで有意義なことであり、具体的に完成形のイメージすることができるためイメージのズレを解消することができます。
今回はデザインアイディアを検索することができるPinterestを使って社内報のデザインを探してみましょう。
Pinterest(ピンタレスト)とは、インターネット上にある画像や動画を集めてコレクションとして保存し、シェアすることもできるWebサービスのことです。
Pinterestからデザインを探す方法は色々ありますがその中で2種類の方法を紹介します。
1.キーワード「社内報」でデザインを検索する
https://www.pinterest.jp/search/pins/?q=%E7%A4%BE%E5%86%85%E5%A0%B1&rs=typed
2.公開されているコレクションを参考にする
https://www.pinterest.jp/orientaru/%E7%A4%BE%E5%86%85%E5%A0%B1/
デザインリストの中で気になるデザインがあればサムネイルをクリックすると、選んだデザインの拡大画面や詳細を閲覧することができます。
さらに無料の登録を行い、画面上の「保存」をクリックすると自分のコレクションを作成することができるため、社内でシェアをしたり、アイディアをストックすることができます。
1と2の方法で検索したデザインの中からピックアップした事例をご紹介します。
【事例1】会報誌「リズム新聞」:赤を基調にして社員の写真を画面全体で使うことで勢いを感じるデザイン
https://www.pinterest.jp/pin/199917670949778862/
【事例2】大林組 社内報「マンスリー大林」:見出しを工夫することで見やすく印象に残るデザイン
https://www.pinterest.jp/pin/521713938095651811/
https://www.concentinc.jp/works/monthly-obayashi-201008/
【事例3】LIFE LABEL「THE ROOTS of my life マイスタンダードの履歴書」:統一感がある色味と工夫されたレイアウトによって見やすさとオシャレ感を演出しているデザイン
https://www.pinterest.jp/pin/521713938095948683/
3. WEB社内報で見やすくオシャレな社内報を簡単に導入
紙の社内報のように凝ったデザインも魅力的だけどスピーディに発信したい!簡単に情報共有をしたい!社員の反応を知りたい!といった要望の場合、WEB社内報はその役割を大いに果たすことができます。
この章ではWEB社内報をデザインに着目してご紹介します。
3-1. WEB社内報とは?
自社で開発した場合は専門知識や運用環境など多くのリソースと費用が必要となりますが、WEB社内報のサービスを利用すれば開発のリソースとコストをカットできるため容易に導入することができます。
WEB社内報にもスピーディな情報共有やデータ集積などメリットがある一方デザインに制限があるなどデメリットもあります(第1章参照)。WEB社内報とはどのようなサービスなのでしょうか?
WEB社内報サービスとは、情報をWEB化、つまりデジタル化して発信することをいい、紙とは発信する方法が違うだけで目的は情報の発信や共有、自社の理念浸透や活性化と同じです。
3-2. WEB社内報サービス
情報発信が簡単にできるという共通点はありますが、サービスによって特徴や使い勝手は異なります。ここでは、機能面とデザイン面に着目してお薦めのサービスをご紹介します。
【WORKSTORY】
株式会社ワークストーリーが提供するサービス。
記事を投稿する際、目的に応じたテンプレートが用意されていてテンプレート毎にデザインが異なるため多彩な記事を投稿でき、賑やかな画面を作成することができます。
テーマカラーをカスタマイズすることができるなど企業毎にオリジナルな見た目にすることができる点も特徴です。
WEB社内報はデザインが変えられないために単調な印象になりがちですが、テンプレートやカラーカスタマイズを活用することで企業ごとのカラーを出せるだけでなく、社員に興味を持たせる画面を作ることができます。
URL:https://workstory.co.jp/
【TUNAG】
株式会社スタメンが提供するサービス。
社内SNSのイメージがありますが組織の可視化やオリジナルスタンプの活用で見やすく、分かりやすいデザインとなっています。
URL:https://biz.tunag.jp/
【NotePM】
株式会社プロジェクト・モードが提供するサービス。
社内マニュアルや業務のコツといったナレッジ共有に特化した社内専用ウィキペディアのような社内報です。情報共有が特色のため検索機能の高いことが魅力です。
シンプルなデザインのため、誰でも見やすく使いやすいコンテンツです。
URL:https://notepm.jp/
【社内報アプリ】
ウィズワークス株式会社が提供するサービスです。
記事から社内資料など社内で必要な情報を集約できるため総合情報ポータルを実現しています。
社内報に十分なテンプレートがあるため多彩な記事の投稿ができます。
URL:https://shanaiho-app.jp/
【solanowa】
株式会社スカイアークが提供するサービス。
必要な機能に厳選することでコストダウンとスピーディーな運用開始を可能にしています。
社内報に特化しているため見やすいデザインになっています。
URL:https://solanowa.jp/
4. テンプレートの活用で簡単に見栄えの良い社内報
テンプレートを利用すれば見出しや文章、写真など素材を用意してテンプレートに当てはめるだけで簡単に社内報が完成できるメリットがあります。一方、汎用的なデザインのためデザイン性に乏しくなってしまうデメリットがあります。
テンプレートを提供するサービスによってデザインは異なりますが、どのサービスでも既に完成されたデザインのため社内報の完成形をイメージしながらテンプレートを選ぶことができます。
テンプレートを利用するとき、社内報のコンセプトを明確にすることで自社に相応しいテンプレートを探しやすくなります。
さらに詳しくテンプレートのメリットとデメリットを見ていきましょう。
4-1. テンプレートを活用するメリットとデメリット
【メリット】
- ・テンプレートは用途別にフォーマットとデザインが用意されているため
目的に応じたテンプレートを選択すれば情報を入力して整えるだけで完成できる - ・デザインや書面の構成など考える必要がないため完成までの工数を削減できる
【デメリット】
- ・サービスによって有料と無料で利用できるテンプレートがあり、無料の場合は汎用的なデザインのものが多いためデザイン面で乏しくなってしまう可能性がある。
- ・デザイン性に富んでいるテンプレートは有料で提供しているサービスが多い。
- ・無料の場合、定型のフォーマットとなっているためカスタマイズがあまりできないケースが多い。
- ・カスタマイズによってテンプレートのデザインでも独自性を出したい場合、有料となる可能性が高い。
テンプレートの活用は、コンテンツの内容さえ用意されていれば時間や人員を割かずに完成することができるため社内報を発行しやすい手軽さがあります。
コストはかかりますが、有料のテンプレートを活用すればデザイン性、カスタマイズ性に富んだ社内報を制作することも可能です。
4-2. おすすめテンプレート5選
Microsoft WordやPower Pointがあればすぐ利用できるものからWEB上ツールで利用できるテンプレートまでサービスによってテンプレートの形式は異なります。
おすすめのテンプレートをデザインやカスタマイズ性に着目してご紹介します。
【Microsoft Officeのテンプレート】
Microsoft Officが提供するテンプレートで、Micorsoft Word用です。
見出しやヘッダーなど要素は用意されているので文字を入力するだけで作成できます。
WORDの機能を使ってコンテンツを作成すれば独自の社内報ができます。
月ごとのおすすめテンプレートもあるため、発行する毎に旬なデザインを選ぶこともできます。
https://www.microsoft.com/ja-jp/office/pipc
https://templates.office.com/ja-jp/%e3%83%8b%e3%83%a5%e3%83%bc%e3%82%b9%e3%83%ac%e3%82%bf%e3%83%bc
【パワポン】
オフィス用品の通販を手がけるアスクルが運営しているサイト。
無料会員登録をすれば「PowerPoint」用テンプレート1,590点が無料でダウンロードできます。
ニュースレターやお便りなどテーマごとにテンプレートがあるため目的によって選ぶことができます。
https://ppon.askul.co.jp/
https://ppon.askul.co.jp/keyword/search/%E7%A4%BE%E5%A0%B1
【bookuma】
株式会社エルム・パブリッシングが提供しているサービスです。
サイトが無料で提供しているデザインソフト「bookuma」では600点ほどの無料テンプレートを使うことができます。
「bookuma」本格的なレイアウトの社内報をテンプレートを使うことで作成することができます。
このソフトは製本事業を営んでいる株式会社エルム・パブリッシングが運営しており、デザインしたあとデータを印刷発注する場合は有料となります。
禁止事項として、下記の3点があるため注意が必要です。
- ・PDFデータを「他の印刷所」に持ち込むこと
- ・PDFデータの「編集・加工」すること
- ・PDFデータを「無許可でWEB・イントラネットへアップロード」すること
https://honlabo.com/
https://honlabo.com/howto/howto-159/
【PIXTA】
ピクスタ株式会社が提供しているサービスです。
PIXTAとは8,530万点以上の画像素材から動画・イラスト、チラシのテンプレートなどを扱う素材サイトです。
会員登録をすれば「PowerPoint」用テンプレートが無料でダウンロードできます。
社内報で使えるニュースレターはカラーやレイアウトに応じて目的にあったデザインを選べます。
パワーポイントで作成されているため編集も簡単にできます。
https://pixta.jp/templates
https://pixta.jp/templates/category/4
【Canva】
Canvaが提供しているオンラインでデザイン性が高い資料が作成できるツールです。
テンプレートを使うためのソフトが不要のため導入しやすいサービスです。
無料のテンプレートや素材も沢山ありますが、
有料プランに登録すればさらに多くのテンプレートやフォント、機能などが使えるようになります。
プランによって複数のメンバーで使えるため、共同で作業することも可能です。
https://www.canva.com/ja_jp/
ttps://www.canva.com/ja_jp/create/syanaihou/
5. 外注先をみつけるには?
いざ外注先業者を探そうとしても自社の企画や目的にあった制作会社を見つけることは容易なことではありません。
そのようなとき、会社の特徴や得意分野など希望の要件とあった企業を探すうえでのヒントになる情報が掲載されたまとめサイトは参考になります。
まとめサイトはどのような企業があるのか知る上でも参考になるため社内報の制作を外注依頼するか検討するとき役立ちます。
今回、会社毎の得意分野など判断する上で貴重な情報が記載されている記事を2つご紹介します。
比較biz「社内報の外注におすすめの制作会社20選」
URL:https://www.biz.ne.jp/matome/2008236/
各企業の特色などが細やかにまとめられています。
気になる企業を一括で問い合わせすることもできます。
発注した場合、どのようなことまで対応してくれるのか知る上でも参考になります。
PRONIアイミツ「社内報制作におすすめのPR会社6選【2023年最新版】」
URL:https://imitsu.jp/list/pr/company-newscraft-production/
会社選びの際、参考になる制作会社を選ぶときのポイントがまとめられています。
会社毎におすすめの企業がまとめられているため、自社の要望に合う会社を見つけやすいです。
6. 読まれる見出しとは?
これまで社内報を発信できる手段や方法をデザインを通して説明してきましたが、どの手段や方法を選択したとしても目的やメッセージを伝えるためにデザインは大きな役割を果たしていることは分かりました。
しかし、デザインといってもどこに着目すれば自分たちがイメージしている雰囲気のデザインを見つけられるのか、デザインを形にできるのかを知ることは難しいです。
この章では注目される「見出し」について着目するポイントを説明します。
6-1. 「フォント」と「文字の大きさ」で決まる!読まれる見出しとは?
見出しでポイントとなるのはフォントの種類と文字の大きさです。
この2点に気を付けて見出しを変えるだけで紙面の印象は大きく変わります。
テンプレートなど既存のデザインから探す場合、イメージに合う見出しのデザインを選ぶ、カスタマイズが可能なときは見出しを調整するだけで紙面の印象を変えることができます。
「フォント」によって紙面の印象を変えるためにはどのようなフォントを選べばいいのでしょうか?
フォントには主に「明朝体」と「ゴシック体」の2種類があります。
選んだ種類によって印象や読みやすさが変わるため、全体のデザインに合うフォントを選ぶことが大切です。
フォントについては7章でさらに詳しく説明します。
6-2. 伝えたい大事な言葉を大きくしてメリハリをつける!
見出しと本文の全ての文字が同じ大きさだと画面全体のメリハリがなく注目して読むところが分からないため読み辛い紙面となってしまいます。
このように本文と見出しで文字の大きさのバランスは大事なポイントとなるため、見出しを大きく強調し、本文は全体のバランスから読みやすい大きさにするなど強弱をつけることは大切です。
また、見出しの文言の中で特に強調したい言葉を大きくして、他の文字と差別化することで、強弱がつき大事な言葉を閲覧者に伝えることができます。
紙面全体でバランスの良くメリハリがあるフォントの大きさは結果として読まれる紙面づくりに近づくことになります。
テンプレートなど既存のデザインから選ぶ場合もフォントサイズでメリハリのあるものを選択することで
結果として見やすい紙面に近づきます。
6-3. 読まれる見出しの具体例とは?
フォントの種類については7章で具体例も紹介するため文字の大きさについて参考になる具体例をご紹介します。
【採用向けチラシ】
見開き左右にある類似した見出しに「ON」と「OFF」を強調することで、端的に左右の記事の内容を伝えています。
URL:https://www.jyocos.co.jp/staffblog/%E9%83%BD%E6%A2%85/3528/
【大林組 社内報】
難しく感じられやすい内容を見出しの大きさを分けることで伝えたい情報の優先順位を分かりやすくしている。
URL:https://www.concentinc.jp/works/monthly-obayashi-201008/
【早稲田大学 文学部案内】
一つの見出しの中に大きさが異なる文字が複数あるにも関わらず改行など工夫することで伝えたい言葉が分かりやすい。
URL:https://www.concentinc.jp/works/waseda_guide_201808/
7. 見栄えも良い!メッセージを伝えるフォントとは?
書籍や雑誌、テレビ、WEBサイトなど身の回りにある文字は様々なフォントを用いて表示されています。いざイメージに合うフォントを使いたいと思ってもどのフォントが相応しいか探すことは容易ではありません。
フォントのことを少しでも理解すればデザインの知識がなくても相応しいフォントはどれか見つけることができるようになります。
この章では実践で使えるフォントの基本的な知識をご説明します。
7-1. フォントにはどのような種類があるの?
フォントの種類は代表的なもので「明朝体」と「ゴシック体」との2種類あり、他に「楷書体」、「筆文字」、「デザイン書体」などがあります。各フォントで使われるシーンや用途は異なり、読み手が受け取る印象も異なってきます。
例えば、「明朝体」は新聞や雑誌など幅広く使用されていて、上品さ、かしこまった印象があります。
「ゴシック体」は雑誌や書籍、ウェブサイトなど幅広く使用されていて、親近感や安定感、カジュアルな印象を与えます。
【明朝体】
【ゴシック体】
読み手の受け取る印象がフォントによって異なるため、見出しや本文にとってイメージに合うフォント選びは読み手にメッセージを伝える第一歩となるのです。
どの種類を選べばよいか分からないとき、「明朝体」と「ゴシック体」のどちらが良いか考えてみましょう。「明朝体」を選んだ場合、もしちょっと違うなと感じたならば「楷書体」、「筆文字」を探してみましょう。「ゴシック体」を選んだ場合、「デザイン書体」などを探していくとイメージに合うフォントが見つかるかもしれません。
7-2. フォントの使い分けはどうしたら良いの?
フォントによって読み手が受け取る印象が異なることからターゲットやメッセージの内容によって書体を選んだ方が良いことは分かりました。
といっても、見出しごとにメッセージが異なるから違うフォントを使う、ページによって違うフォントを使うなど色々な種類のフォントを乱用することは得策ではありません。
フォントの種類が多すぎても統一感がなくなるため、2,3種類の書体にとどめ、まとまりのある紙面になるよう気を付けましょう。
7-3. 実例からみる書体の選び方
【明朝体:早稲田大学 文学部案内】
明朝体は新聞や小説などで使われている書体のため文学部らしく、上品な印象を与えます。
【ゴシック体:大林組 社内報】
カジュアルで親しみやすい書体を使うことで難しい印象を受けやすい内容に分かりやすい印象を与えます。
7-4. フリーフォントの活用
読み手の受け取る印象がフォントによって異なるため、見出しや本文でイメージに合うフォント選びは読み手にメッセージを伝える第一歩となるのです。
外注する場合、書体を選ぶことは難しくはありませんが、テンプレートや実際自社で作成する場合、パソコンにインストールされているフォントの種類は限られていて、購入するとしてもフォントは高価なものです。
そこで、英数字や日本語フォントには多くのフリーフォントがあり、無料で使うことができるものも沢山あります。
フリーフォントを使うとき注意しなければいけないポイントが2点あります。
1つめは、利用目的によって商用利用不可のものがあるため利用条件を確認する必要があります。
2つめは、WindowsやMACどちらかのみ利用可能なフォントもあります。
フリーフォントはどのようにして探せばよいのでしょうか?
Adobe Creativeを利用して社内報を制作しているのならばAdobe Fontsは20,000以上の英語フォント、日本語フォントも500以上を使い放題です。
他にも下記のサイトのようにフリーフォントを紹介しているサイトがあるためイメージに合うフォントを探すことができます。
- ・【プロが使う】日本語フリーフォント178選|定番の5つも紹介
https://japan-design.jp/design/0082/ - ・【商用OK】漢字も使えるオススメ日本語フリーフォント133個まとめ
https://photoshopvip.net/130142
8. 見やすいレイアウトとは?レイアウトを考えるヒント
紙面づくりにとってフォントと同様に大事な要素としてレイアウトがあります。
紙面のレイアウトを考えるといってもど何をすればよいのか分からないと思われている方もいるのではないでしょうか。
この章では、社内報のレイアウトを考えるヒントになるポイントをご紹介します。
レイアウトのポイントを押さえておけば、自社で社内報を作成するときだけでなく外注に依頼するときやテンプレートを探すとき、コンセプトやメッセージを伝えるレイアウトを見つける手助けになるでしょう。
8-1. 社内報のレイアウトのポイントは?
社内報全体を通してレイアウトの共通ポイントは5つあります。
1.視線の流れを意識してN型かZ型になるように
人が画面を見る時の視線の流れはN型とZ型の2種類あります。
N型は縦書きの画面を見るときの視線の流れで、右上→右下→左上→左下と画面上をN字を描くように読んでいく流れのことです。
Z型は横書きの画面を見るときの視線の流れで、左上→右上→左下→右下と画面をZ字を描くように読んでいく流れです。
一番読ませたい見出しやコンテンツを右上もしくは左上に配置することで伝えたいメッセージを見落とすことなく読んでもらうことができます。
2.規則的なレイアウトに不規則な要素を入れることでメリハリがある紙面にする
文字数が多い紙面の場合、段落や章ごとに規則的にコンテンツを並べて、見た目を揃えると読みやすくなります。
規則的に並べたコンテンツは単調な印象になる可能性もあるため、一つでも見出しなどデザインを変えた要素があると、紙面全体のメリハリがつき読みやすくなります。
3.余白を入れることで見やすくバランスの良い紙面
紙面全体、コンテンツ間、行間など紙面上には多くの余白があります。
余白をあまり設けずに文字で埋め尽くされた紙面は圧迫感があり読みづらい印象を与えます。
必要な箇所に適度な余白を設けることで紙面が読みやすくなるだけでなく、注目してほしいコンテンツへの視線の流れを作りやすくなり結果としてバランスが良く美しい画面となります。
4.フォントと文字の大きさで紙面の統一感をあげる
6,7章でご紹介してきた通り、フォントと文字の大きさはレイアウトをまとめるためにも大きな要素です。
5.写真は「写真自体が一つのコンテンツとなる」と「文章を補う」の両方の役割ができる
写真は一つの伝えたい内容でメインの要素となる場合と文章の内容を補うための補足となる場合と2つの役割ができるため社内報の紙面を作るうえで大事な要素になります。
余白と文章、写真をバランスよくレイアウトすることで読みやすくまとまりがある紙面となるのです。
次に、もう少し細かくコンテンツごとのレイアウトのポイントをご紹介します。
社内報は表紙、目次、見出し、本文、写真などコンテンツ毎にポイントがあります。
今回は、紙面の中心となる表紙、見出し、本文、写真についてポイントを説明します。
【表紙】
表紙は一番最初に読み手が目にするページです。そのため、表紙は伝えたいこと、企業などのイメージ・世界観にあったレイアウトが良いです。
表紙に必要な要素は、
1.社内報名のロゴ
2.発行月または発行日
3.キャッチコピー
4.特集内容や連載記事など、社内報のメインとなるコンテンツタイトル
5.写真やイラストなどメインビジュアル
【見出し】
1つのコンテンツでも伝えたい情報量が多いとき、大見出し、中見出し、小見出しと見出しを分けてレイアウトすることで内容を整理でき、メッセージを伝えやすくなります。
見出しごとに文字の大きさや色の濃淡など構造が分かるデザインにすることで見出しの優先順位が分かり、見やすくなります。
【本文】
行間や文字の大きさに注意して詰まり過ぎない文章にすることは大切です。
全体を通して共通するポイントでもご紹介しましたが、コンテンツ間に適度な余白を設けることでさらに文章は読みやすくなります。
写真やイラストを文章を補う素材として活用することで文章量を抑えることも意識しましょう。
【写真・イラスト】
写真やイラストは文章の内容を補い、読み手を記事に興味を持たせる役割があります。
そのため、普遍的なフリー素材ではなく、オリジナルの写真やイラストを使うことで訴求力が高まります
8-2. 参考になる社内報を探すヒント
レイアウトのポイントは分かったけど「やるべきことのイメージが湧き辛い」、「自社に合うデザインにむずびつくことができない」など、具体的なイメージに結びつかない方もいるのではないでしょうか。
そのようなときは、2章でご紹介したように事例を探すことでレイアウトのイメージを膨らませることができます。
2章では社内報を探す方法としてPinterestを使う方法をご紹介しました。
Pinterestには沢山のデザイン事例がストックされているため簡単に事例を沢山見ることができます。
Pinterest以外に事例を探す方法はあり、特徴も異なります。
他の方法を試すことでより幅広く参考になる社内報を探すことができます。
【マイ広報誌で探す】
自治体などの広報誌を記事ごとにデータ化し、無料で配信しているサービスです。データ化された広報誌はサイト内で検索することができます。
最新号が定期的に更新されているので季節ごとや最新の広報誌を見ることができます。
URL:https://mykoho.jp/
【印刷会社の事例を調べる】
5章で外注先の探し方をご紹介しましたが、印刷会社の中では自社サイトに事例を紹介している企業もあります。外注先の企業を探すとき、事例を参考にして依頼することも良いでしょう。
9. まとめ
幅広い読み手に届けるために紙で発行する?スピーディな情報共有ができるWEBを利用する?
デザイン・印刷会社を探して外注する?より的確に社内の雰囲気やメッセージを伝えるために社内の人材で制作する?
など媒体と手段を何を選択するかによって完成までに費やす時間や費用は大きく異なります。また、実現可能なデザインの幅も大きく変わってきます。
しかし、どの媒体や手段を選んだとしても自社で伝えたいメッセージや目的を的確に表現するためにデザインは大きな役割を果たしています。
社内報のデザインの大事なポイントや参考になる事例のストックがあることは、自社で伝えたいメッセージを具体的な形にするための近道にもなりえるのです。
この記事でご紹介した内容を社内報を制作するときの参考にしていただき、読み手の方々に喜んでいただける社内報に貢献できればと思います。
社内報にとってメッセージを伝えるためにデザインも大切ですが、掲載する内容も重要です。
社内報のネタについて下記の記事でお役に立つ情報をご紹介しています。
【社内報ネタ20選】社員にウケる社内報の作り方教えます