心理的安全性が低い組織の特徴と要因は?改善手順も4ステップで紹介

心理的安全性が低い組織の特徴と要因は?改善手順も4ステップで紹介
Businessman worry about work, lack of motivation to work, chronic stress and lack of concentration. Decreased work efficiency.
コミュニケーション

「もしかして、うちの部署(会社)は心理的安全性が低い状態なのだろうか?」
「そもそも心理的安全性が低いとは、どういうこと?」

そのようにお悩みではありませんか?

先に言ってしまうと、

余計なことは、言わない・やらない

という風潮のある組織は、心理的安全性が低い状態である可能性が高く、以下のような特徴が見られるはずです。

【心理的安全性が低い組織でみられる特徴】

・極端に発言の少ない従業員が居る

・オフィスが静まりかえっている

・会議で異論が出ない

・従業員が要望を言わない

・小さなミスが報告されない

・自発的な行動や提案が見られない

・「報・連・相」が十分に行われない

こうした状況により、即座に大きな損失が発生するというわけではありません。
しかし、企業の存続が危うくなるリスクを孕んだ状態であることは確かです。

というのも、心理的安全性が低い組織は、次のような事態に陥りやすくなってしまうからです。

  • ・仕事のパフォーマンスが落ちる
  • ・離職率が高くなりやすい
  • ・不正が行われやすくなる

働き手の不足が進み、コンプライアンスの遵守が強く求められる現代において、こういった事態が企業にとって痛手になることはお分かりですね。

今回は、こうした事態を回避・解消するために、以下の内容をご紹介します。

本記事の内容

・心理的安全性が低い組織の特徴

・心理的安全性が低い要因

・心理的安全性が低いことによる悪影響

・心理的安全性が低い状態を打破するための4ステップ

心理的安全性が低くなってしまう要因を把握したうえで、根本から改善していく方法が分かる内容となっています。

ぜひ最後まで目を通してみてくださいね。

1. 心理的安全性が低い組織の特徴

心理的安全性が低い組織の特徴
心理的安全性が低いことへの対策を講じるかどうかを判断するためにも、まずは、ご自身の組織は本当に心理的安全性が低いのかを見極めておきたいですよね。

ここでは、「心理的安全性が低い」とはどのような状態なのかイメージしやすくするために、心理的安全性の低い組織で見られる特徴を説明します。

1-1. 「対人関係のリスクを取ることへの不安」が蔓延している

心理的安全性が低い組織では、多くの従業員が「対人関係のリスクを取ることへの不安」を感じています。

そもそも、組織における対人関係には、以下の4つのリスクが伴います。

【対人関係における4つのリスク】

①「無知」だと思われるリスク

他のメンバーに「無知」と思われる可能性のある発言・行動をすること

例)上司の指示に分からない点があるから質問する

②「無能」だと思われるリスク

他のメンバーに「無能」だと思われる可能性のある発言・行動をすること

例)金額を間違えた見積書を出してしまったことを報告する

③「ネガティブ」だと思われるリスク

他のメンバーに「ネガティブ」だと思われる可能性のある発言・行動をすること

例)会議の決定に懸念があるので指摘する

④「邪魔」だと思われるリスク

他のメンバーに「邪魔」だと思われる可能性のある発言・行動をすること

例)お客様に提出する書類のダブルチェックを先輩に頼む

心理的安全性がきちんと確保されていて、安心して働ける組織では、こういったリスクを取ることに対して不安を感じません

例えば、分からないことがあって質問したとしても、他のメンバーが自分のことを「無知」だなどと思わず、答えてくれるという信頼がお互いにあるのです。

一方で、心理的安全性の低い組織では、従業員は対人関係におけるリスクを取ることに不安を感じてしまいます。

「ミスを報告したら無能だと思われてしまうのでは…」
「相談したいけど邪魔だと感じられてしまうのでは…」

そのような不安がつきまとい、リスクとなり得る発言や行動をためらってしまうのです。

1-2. 対人関係のリスクを取らないことが従業員の行動原理となっている

心理的安全性が低い組織では、従業員は対人関係におけるリスクを取りたがりません。

これは、

「無知・無能・ネガティブ・邪魔と思われるリスクに自分を晒さない」

という行動原理で従業員が動いているということです。

つまり、生産性や業務効率が向上することよりも、リスクを回避することの重要性が高くなってしまっているのです。

以下のような状況には、こうした行動原理がよく表れています。

【心理的安全性の低い組織で見られる状況と行動原理】

状況

従業員の行動原理

会議で発言の少ない従業員が居る

見当違いな発言で、無知だと思われるリスクを避けたい

オフィスが静まりかえっている

相談や質問をして、邪魔だと思われるリスクを避けたい

会議で異論が出ない

他のメンバーの意向に沿わない意見を言って、ネガティブだと思われるリスクを避けたい

従業員が要望を言わない

上司の意向に沿わない要望を言って、邪魔だと思われるリスクを避けたい

小さなミスが報告されない

ミスで無能だと思われるリスクを避けたい

(自分で解決できる程度のミスは報告したくない)

自発的な行動や提案が見られない

役に立たない行動・提案をして、無能だと思われるリスクを避けたい

「報・連・相」が十分に行われない

必要以上に先輩や上司の時間を取って、邪魔だと思われるリスクを避けたい

(全く行わないことで、無能だと思われるリスクも避けたいから最低限は行う)

あなたの職場やチームでは、このような状況が発生していませんか?

もし心当たりがあれば、それは心理的安全性が低い状態だと自覚して、改善に努める必要があります。

2. 心理的安全性が低くなる3つの要因

心理的安全性が低くなる3つの要因
心理的安全性が低い状態を改善していくためには、要因を知り、それらを排除することが重要です。

ここでは、以下のような心理的安全性が低くなってしまう要因について、詳しく解説します。

心理的安全性が低い要因

・従業員の発言・行動を切り捨てるような習慣や文化がある

・従業員間のコミュニケーションが不足している

・情報共有の仕組みが整備されていない

一つずつ順番に見ていきましょう。

2-1. 従業員の発言・行動を切り捨てるような習慣や文化がある

従業員の発言・行動を「無知・無能・ネガティブ・邪魔」と切り捨てるような習慣や文化が組織内に根付いていると、心理的安全性は低くなってしまいます。

習慣・文化なので、社歴が長い人ほど気付きにくいですが、組織内の「当たり前」には、実は対人関係のリスクへの不安を助長する要素が隠れていることが多いのです。

例えば、以下のような習慣や文化は、その一例です。

【対人関係のリスクへの不安を助長する習慣・文化】

「無知」だと思われるリスクへの不安を助長

・質問を良しとしない

…質問した従業員に対して「前にも説明したよね?」、「そんな簡単なことも分からないの?」と返す状況が珍しくない

「無能」だと思われるリスクへの不安を助長

・個人を過剰に競わせる

…売り上げなど単一の指標で従業員を評価し、下位の者にペナルティを課している

・ミスを責める

…ミスをした従業員に対して、再発防止のための注意を超えた叱責が行われる

「ネガティブ」だと思われるリスクへの不安を助長

・批判や反論を論破する

…従業員から批判や反論が出ても、納得・共感することなく論破して退ける

・心配事への共感を示さない

…従業員が不安や心配を訴えてきても、「大丈夫!」「そんなこと言わないで!」と押し切る

「邪魔」だと思われるリスクへの不安を助長

・不要なアイデアはすぐに却下する

…アイデアの利点・欠点を吟味することなく、時間の無駄とばかりに却下する

・上の立場の人が不機嫌な態度を取ることがある

…忙しいことを理由に、無視したり目を合わせないということがある

・トップダウンの体制が徹底している

…上層部の意向は絶対で、意見しても通ることはない

このような習慣・文化は、10年、20年前では決して珍しいことではなく、マネジメントを行う立場の人が自ら気付くというのは難しいことかもしれません。

ただ、「会社」とはそういうものだという固定観念を取っ払い、「チーム」・「仲間」という枠組みで、あなたを含めたメンバー同士の関わり方を考えてみてください。

すると、表に記載したような風潮に違和感を感じませんか?

趣味の釣り仲間に、「その釣竿どこで買ったの?」と聞いて「前も教えたよね?」と返答されたら、嫌な緊張感や不安を覚えるはずです。

そのように、「チーム」や「仲間」に置き換えて考えた時に、違和感を感じるような習慣や文化は、心理的安全性を低くする要因である可能性が高いと言えます。

2-2. 従業員間のコミュニケーションが不足している

従業員間でコミュニケーションが不足していることも、心理的安全性が低い要因となります。

コミュニケーションが十分に取れていないことで、従業員間の相互理解が生まれず、対人関係のリスクを取ることへの不安が解消されないためです。

例えばあなたの組織には、相手の発言・行動を「無知、無能、ネガティブ、邪魔」だと捉えるような、心理的安全性を阻害するメンバーが存在しないとします。

しかし、仮に今日入社してきた新入社員Aさんが居たとして、Aさんが早速会議で積極的に発言するのは難しいですよね。

Aさんには、初対面のメンバーがどんな人か分からず、自身の発言や行動がどのように捉えられるか見当もつかないので、不安でリスクを取る(積極的な発言をする)ことができないのです。

では、半年間、Aさんと各メンバーが業務内外で密にコミュニケーションを取った場合はどうでしょうか。

Aさんは半年の間に各メンバーの人となりを知ることができ、メンバーが自分のことを理解してくれているという確信も持てることでしょう。

そのような状況なら、安心して会議で意見を述べられるはずです。

このように組織内のメンバー間に相互理解があるからこそ、安心して対人関係のリスクを取ることができるのです。

このことから、相互理解のためのコミュニケーションが不足することは、心理的安全性が低い状態を作り出してしまうと言うことができます。

※組織内のコミュニケーション不足を感じているという場合は、以下の記事にも目を通してみてください。

社内コミュニケーションとは?基本と活性化の取り組み 7つのアイデア

2-3. 情報共有の仕組みが整備されていない

情報共有の仕組みが整備されていないことも、心理的安全性が低い要因となります。

情報共有の仕組みが整備されていないことは、メンバー同士、あるいはメンバーと組織間の相互理解を妨げるからです。

先ほどもお伝えした通り、組織内のメンバー間に相互理解が無いことは、心理的安全性が低い要因となりますよね。これは、メンバーと組織自体(経営陣)の間でも言えることなのです。

例えば、新入社員や一般従業員が組織を深く理解するためには、

  • ・企業理念/経営理念
  • ・クレド(理念を浸透させるための行動指針)
  • ・役員からのメッセージ

が共有されていることが非常に重要です。

反対に、組織(役員・経営陣)が新入社員や一般従業員のことを理解するためには、

  • ・従業員のプロフィール
  • ・従業員の近況やトピックス

などが共有されていると効果的です。

しかし、そういった情報を共有する仕組みが整っていないと、なかなか相互理解は生まれません。

その結果、心理的安全性が低い状態を作り出してしまうのです。

3. 心理的安全性が低いことによる悪影響

心理的安全性が低いことによる悪影響
ご紹介したような要因を放置し、心理的安全性が低いままにしておくことは、企業の成長を停滞させることに繋がります。

心理的安全性が低いと、従業員は組織の成長や発展よりも、対人関係のリスクから身を守ることを優先してしまい、以下のような事態を招くのです。

心理的安全性が低いことによる悪影響

・仕事のパフォーマンスが落ちる

・離職率が高くなりやすい

・不正が行われやすくなる

特にマネジメントを行う立場の人が、こういった心理的安全性が低いことによる悪影響を理解し、真剣に対策に乗り出す必要があります。

それぞれの悪影響について、詳しく見ておきましょう。

3-1. 仕事のパフォーマンスが落ちる

心理的安全性の低い組織では、仕事のパフォーマンスが落ちてしまいます。

従業員がお互いを理解せず、心理的安全性が生まれていない状況では、対人関係のリスクを取ることへの不安が大きいので、組織のための発言や行動が為されないのです。

このことは、以下のような状況に直結します。

  • ・会議で「自分を対人関係のリスクから守るため」の発言しか出ない

    ▶︎有意義なディスカッションが行われない

  • ・現場からは都合の悪い報告が上がってこない

    ▶︎上層部の意思決定の質が落ちる

  • ・従業員が対人関係のリスクから身を守るための行動(仕事)しか取らない

    ▶︎上司の指示無しでは動かない

心理的安全性が低いことで、このような状態に陥ることは、Googleが行ったチームの生産性についての調査結果とも矛盾しません。

リサーチ結果によると、心理的安全性の高いチームのメンバーは、(〜中略〜)他のチームメンバーが発案した多様なアイデアをうまく利用することができ、収益性が高く、「効果的に働く」とマネージャーから評価される機会が 2 倍多い、という特徴がありました。

引用:Google re:Work – ガイド: 「効果的なチームとは何か」を知る

この調査結果からもうかがえるように、心理的安全性が低いと「組織を良くしよう」という発言や行動が活性化しづらく、心理的安全性が高い場合に比べてパフォーマンスは低下してしまうのです。

3-2. 離職率が高くなりやすい

心理的安全性が低い組織では、従業員の離職率が高くなる傾向が見られます。

心理的安全性と離職率の相関性は、先ほどもご紹介したGoogleのチームの生産性についての調査結果でも明らかとなっています。

リサーチ結果によると、心理的安全性の高いチームのメンバーは、Google からの離職率が低く、(〜中略〜)という特徴がありました。

引用:Google re:Work – ガイド: 「効果的なチームとは何か」を知る

離職率が高くなってしまう要因は、心理的安全性が低いことで、従業員の組織への信頼感や愛着心(=エンゲージメント)が確立できないからだと考えられます。

※エンゲージメントについては、「エンゲージメント 経営」で詳しく解説しています。

従業員と組織の精神的な結び付きとも言えるエンゲージメントは、心理的安全性が確保され、不安無く発言したり行動したりできる土台が整っていないことには、確立することができないのです。

かつての企業経営においては、優秀な従業員を繋ぎ止めるために重要なのは、報酬や待遇だと考えられてきました。

もちろんそうした定量的な指標は依然として重要ではありますが、近年ではエンゲージメントという定性的な指標も大きく注目されています。

エンゲージメントを確立することで、従業員の「会社に貢献しよう」という思いが醸成され、離職率の低下に繋がる。この考え方が、近年の企業経営では主流となっているのです。

しかし、そもそも心理的安全性が低い状態では、エンゲージメントを確立することができず、離職率も高くなってしまうのです。

3-3. 不正が行われやすくなる

心理的安全性が低いことは、不正が行われやすくなるという事態にも繋がります。

既にお話しした通り、心理的安全性が低い組織の従業員は、対人関係のリスクを取ることに不安を感じています。

その不安から、間違いを指摘・報告しづらくなってしまい、以下のような事態が起こりやすくなるのです。

  • ・従業員によるミスの隠蔽
  • ・不祥事を隠すためのデータ改ざん
  • ・上司の不正を見て見ぬふり

一方で、心理的安全性の提唱者であるエイミー・C・エドモンドソン教授が実施した調査によると、心理的安全性の高い組織では、ミスの報告や再発を防ぐための話し合いが頻繁に行われることも分かっています。

出典:Building a psychologically safe workplace | Amy Edmondson | TEDxHGSE

このことからも、心理的安全性の低い状態が、不正を行いやすい状況を作り出してしまうことは明らかです。

4. 心理的安全性が低い状態の改善は企業にとって最重要事項

心理的安全性が低い状態の改善は企業にとって最重要事項
ご紹介したような悪影響をもたらす、「心理的安全性の低さ」を改善することは、企業が今すぐに取り組むべき最重要事項と言えます。

心理的安全性が低いことにより懸念される事態は、さしあたっては「悪影響」で済むかもしれませんが、いずれは必ず企業の存続を危ぶむことになります。

このことは、以下のように一歩踏み込んで考えればお分かりいただけるかと思います。

心理的安全性が低いことによる悪影響がさらに悪化すると…

・仕事のパフォーマンスが落ちる

▶︎業務効率・生産性が向上しないことで、競争力が衰え、競合他社に顧客が流出する\

・離職率が高くなりやすい

▶︎人材を社内に留めておけないことで、人手不足が加速し、事業規模を縮小せざるを得なくなる

・不正が行われやすくなる

▶︎重大な不正や不祥事が公になれば、社会的信頼が失墜し、顧客も失う

競合他社が成長を続ける中で、あなたの企業だけがこのような状況に陥ってしまったら、成長することはおろか、存続していくことすら困難になるのではありませんか?

企業である以上、利益を追求することは大切ですが、それと同じか、それ以上に、企業の存続を危ぶむリスクを摘み取っておくことも重要なはずです。

心理的安全性を向上させるということは、そういったリスクを摘み取ることなのです。

5. 心理的安全性が低い状態を打破するための4ステップ

心理的安全性が低い状態を打破するための4ステップ
心理的安全性は、今すぐ高めていくべきだということがお分かりいただけたところで、そのための手順をご紹介します。

それが、以下の4ステップです。

【心理的安全性が低い状態を打破する4ステップ】

STEP①

現状の心理的安全性を測定する

STEP②

内部で完結できる対策を実施する

STEP③

再度心理的安全性を測定する

STEP④

必要に応じて外部の支援やサービスを取り入れる

この4つの手順を回転させ続けることで、組織内の心理的安全性が徐々に高まっていくはずです。

ここでは、それぞれのステップについて詳しく説明します。

5-1. 【STEP①】現状の心理的安全性を測定する

心理的安全性を高めていくためには、まず現状の組織内の心理的安全性が、どれくらい低いのかを客観的に把握する必要があります。

これを知るために役立つのが、心理的安全性の提唱者であるエドモンドソン教授が考案した7つの質問によるアンケートです。
以下の表をご覧ください。

【心理的安全性を計測するための質問と回答ごとの点数】

1.チームの中でミスをすると、たいてい非難される

回答

点数

1

2

3

4

5

6

7

2.チームのメンバーは、課題や難しい問題を指摘し合える

回答

点数

7

6

5

4

3

2

1

3.チームのメンバーは、自分と異なることを理由に他者を拒絶することがある

回答

点数

1

2

3

4

5

6

7

4.チームに対してリスクのある行動をしても安全である

回答

点数

7

6

5

4

3

2

1

5.チームの他のメンバーに助けを求めることは難しい

回答

点数

1

2

3

4

5

6

7

6.チームメンバーは誰も、自分の仕事を意図的におとしめるような行動をしない

回答

点数

7

6

5

4

3

2

1

7.チームメンバーと仕事をするとき、自分のスキルと才能が尊重され、活かされていると感じる

回答

点数

7

6

5

4

3

2

1

この7つの質問によるアンケートに対して、従業員に以下の①〜⑦で回答してもらいます。

  • ①非常にそう思う
  • ②そう思う
  • ③ややそう思う
  • ④どちらともいえない
  • ⑤あまりにそう思わない
  • ⑥そう思わない
  • ⑦まったくそう思わない

この回答に応じて点数(表を参照)を算出することで、組織内の心理的安全性の状態を数値化することができるのです。

この点数には、「◯点以上ならOK」という明確な基準はありませんが、点数が上がれば、それは心理的安全性も高まっているということです。
点数アップを目指して、STEP②〜④に取り組んでいきましょう。

※アンケートは、本音を引き出すため、匿名で回答してもらってください。

5-2. 【STEP②】内部で完結できる対策を実施する

心理的安全性の状態を測定することができたら、心理的安全性を高めるための対策を実施していきましょう。

ここではまず、組織内部で完結できる施策を実施します。
その具体策として、以下のようなものが挙げられます。

対人関係のリスクへの不安を助長する風潮を解消する対策

・発言の少ない従業員に話を振り、相槌を打ちながら聴く

・直接的な利益に繋がらなくても、小さな成果を褒める

・「慎重に進めたいから…」と、異論や疑問を引き出す

・ペナルティを伴うような制度を見直す

・従業員が管理職に相談できる機会を定期的に設ける

従業員同士のコミュニケーションを活性化させる対策

・ランチミーティングなどを活用して雑談をする機会を増やす

・感謝は対面で伝える

情報を共有するための対策

・イベント(慰労会など)を実施し、その中で理念やクレドを共有・再確認する

まずは、マネジメント層や、それに準ずる立場の人から、こういった対策を始めてみてください。

継続すれば、良い方向に変化が起こるはずです。

心理的安全性を高めるための施策については、「心理的安全性の作り方」でも詳しく解説しているので、ぜひこちらも参考にしてみてくださいね。

5-3. 【STEP③】再度心理的安全性を測定する

組織内で完結できる対策を実施し続けていると、従業員の行動にわずかでも行動変容が見られるはずです。

それは例えば以下のようなものです。

  • ・以前より質問する機会が増えた
  • ・オフィスで従業員同士が会話する機会が増えた
  • ・会議での自発的な発言が増えた
  • ・従業員から要望を引き出しやすくなった

自発的な行動・提案が見られるなど、大きな変化はなくても、このような兆候があれば、心理的安全性が高まってきている証拠です。

ささやかでも何か変化を感じられたら、その時点で再度STEP①のアンケートを実施して心理的安全性を測定してみましょう。

そこで、数値が上昇していることを確認できたら、引き続きSTEP②の対策継続・STEP③の心理的安全性の再測定を繰り返します

もし、再測定の結果、数値の上昇に頭打ち感が見られてきたら、続いてSTEP④へと進みます。

5-4. 【STEP④】必要に応じて外部のツールやサービスを取り入れる

社内で完結できる対策に限界を感じたら、次は外部のツールやサービスを取り入れてみましょう。

体系化されたツール・サービスによって、あなたの組織の心理的安全性をもう一段階引き上げられるはずです。

例えば、以下のようなものを活用してみるのがおすすめです。

【心理的安全性を高めるために活用できるツール・サービス】

研修・セミナー

組織のリーダーや管理職向けに実施される、心理的安全性について学ぶ研修・セミナー。

内容はもちろん、オンライン・オフラインや有料・無料など都合に合わせて好みのものを受講できる。

「心理的安全性 研修/セミナー」で検索すると、様々な研修・セミナーがヒットする。

外部メンター

従業員の相談役として起用する、社外のメンター。

社内で選出するケースも多いが、社外から起用すると、しがらみが無く、従業員がより本音を言いやすい。

メンターに自分の発言をしっかりと聴いてもらえて、否定されることもなく、時に励まされることで、自然と対人関係のリスクへの不安が緩和されていく。

インナーブランディングツール

心理的安全性を高めるために役立つ、コミュニケーション機能や情報共有の仕組みがまとまったツール。例としては社内報テックなどがある。

※「インナーブランディング ツール」で詳しく解説

内部での対策に頭打ちを感じたら、このような外部のツールやサービスも積極的に活用してみてください。

【インナーブランディングツールを活用するならWORKSTORYがおすすめ!】

インナーブランディングツールを活用するならWORKSTORYがおすすめ!
社内報テック「WORKSTORY」を活用すれば、Web上に社内報を構築することができ、組織内で情報共有するための仕組みが整います。

メンバー同士、あるいはメンバーと組織間の相互理解をスムーズに進めたい場合は、ぜひ以下より詳細をご覧になってみてくださいね。

▶︎未来型 社内報テック「WORKSTORY」を詳しく知る

6. まとめ

心理的安全性が低いとはどういうことか、それを高めていくにはどうするべきかがお分かりいただけたでしょうか?

最後に今回の内容をまとめておきます。

心理的安全性が低い組織には、次のような特徴が見られます。

  • ・「対人関係のリスクを取ることへの不安」が蔓延している
  • ・対人関係のリスクを取らないことが従業員の行動原理となっている

心理的安全性が低くなる要因は以下の3つです。

心理的安全性が低い要因

・従業員の発言・行動を切り捨てるような習慣や文化がある

・従業員間のコミュニケーションが不足している

・情報共有の仕組みが整備されていない

心理的安全性が低いことによる悪影響は、以下の通りです。

心理的安全性が低いことによる悪影響

・仕事のパフォーマンスが落ちる

・離職率が高くなりやすい

・不正が行われやすくなる

心理的安全性を高めるには、以下の手順に従ってみてください。

【心理的安全性が低い状態を打破する4ステップ】

STEP①

現状の心理的安全性を測定する

STEP②

内部で完結できる対策を実施する

STEP③

再度心理的安全性を測定する

STEP④

必要に応じて外部の支援やサービスを取り入れる

心理的安全性が低い状態を放置しておけば、いずれ企業の存続を危ぶむ事態に発展する可能性が高いです。

そのような事態を回避するためにも、ぜひ心理的安全性の向上に努めましょう。