今あなたの部下や後輩たちは、円滑なコミュニケーションをとれていますか?
現在思うようにプロジェクトが進まない、なんとなく社員の士気が下がっている気がする…
そんな社員同士の関係を何とかしたい場合に、役立つのが「チームビルディング」です。
この記事では「チームビルディング」とは何か、基本的な知識から実践による効果、そして具体的なやり方をご紹介します。
合わせて、チームビルディングを実践するにあたって、役立つコンサルや書籍までの情報もまとめましたので、ぜひご参考にしてみてください。
1.チームビルディングとは、強い組織作り
1-1.どんな効果があるのか
1-2.対象は誰なのか
2.チームビルディングのやり方
2-1.対話型
2-2.アクティビティ
2-3.スポーツ
2-4.ビジネスゲーム
3.チームビルディングにおすすめの業者・テキスト紹介
3-1.協会
3-2.業者・コンサル
3-3.本・テキスト
4.まとめ
1.チームビルディングとは、強い組織作り
「チームビルディング」は、メンバー一人ひとりが持つ能力を発揮しながら、チーム一丸となって目標に向かって進む組織を作っていくことです。
ただ会社に人が何十人も集まっているのは、「集団」であり「チーム」にはなっていません。
たとえメンバーそれぞれが優秀な能力を持っていたとしても、チームとしてのまとまりがなければ能力が発揮されにくくなります。
特に同じ部署の後輩たちをまとめあげるのは、リーダーが直面する大きな問題でもあります。
チームビルディングは、ただの集団から協力し合えるチームになり、目標やビジョンに向かって進んでいける、強い協調性を持った仲間を作るためのものなのです。
1-1.どんな効果があるのか
チームビルディングはスポーツ界でも多く用いられている言葉です。
社員がただ会社で与えられた仕事をこなすだけでは、人数がそろっていてもチームではありません。
まずは会社という組織がチームであるという認識を持つことで、次の3つのような変化が生まれていきます。
《チームでの一体感を共有しモチベーションアップにつながる》
チームビルディングの研修では、いろいろな課題に挑戦してメンバーたちがクリアしていくプログラムが用意されています。
たとえば、「何分以内に問題を解いてゴールを目指す」「目隠しをしてスポーツをする」など、一人ではとてもクリアできないような高度な問題にチャレンジしていくプログラムが用意されています。
この困難な課題にメンバー全員で悩み、実行し改善していくことで、自然と仲間意識が高まっていきます。
最終的に課題をクリアできたときには、チームメンバーの一体感や達成感を得られるのです。
チームで協力して課題をクリアすることの気持ちよさを知ることで、メンバーが協力して行動するような関係性を作るのに役立ちます。
《仲間への尊敬や信頼度が増しコミュニケーションが円滑化する》
協力し合って難度の高い課題をクリアすることは、メンバー同士の信頼度を高め、相手への尊敬の気持ちが生まれるきっかけにもなります。
課題をクリアするには、メンバー一人ひとりが意見を出し合いコミュニケーションを深めていくのが必須。
これまで職場で話す機会が少なかった人同士も、チームビルディングをきっかけに会話が活性化し、相手への理解を深めた結果、コミュニケーションが円滑な環境が出来上がるのです。
《アイディアの幅が広がる》
自分では1つしか浮かなばいアイデアも、数人で協力し合えば思いつかないような多彩なアイデアが生まれます。
他の人のアイデアに刺激され、「こういった考え方もできるのだ」「もっと柔軟な思考をすべきだ」とメンバーが気づくきっかけになります。
チームビルディングは仕事でも枠にはまった考えだけでなく、広い視野でさまざまなアイデアを出せる柔軟な発想ができるようになっていくのです。
1-2.対象は誰なのか
チームビルディングの研修やイベントは、ほとんどが体験型のアクティビティのプログラムになっているため、新入社員が行うというイメージを持っている人もいます。
しかし、チームビルディングの対象になる人物は基本的に制限がなく、組織全員と言えるでしょう。
実際、中堅社員やリーダーをはじめ、管理職や社長や役員などの経営層まで、幅広い社員がチームビルディングの対象です。
特に管理職や経営層は、より多くのメンバーを束ねるチームマネジメント能力が必要になります。
だからこそ、チームビルディングではより高度な課題にチャレンジし、実際に会社では実践しづらいチームマネジメントの方法をメンバーで実践できるのです。
2.チームビルディングのやり方
チームビルディングは、大きく分けてプロセスは4つの段階を踏んでいきます。
2.コミュニケーションをとるうちに、お互いの意見を言い合い、共有できる関係になります。その最中意見がぶつかったり、メンバーとの衝突やぎくしゃくした状態も生まれていきます。
3.一人ひとりの考え方が違うことを認め、お互いを受け入れ合うため関係性が安定してくる段階。ただし個人のモチベーションは低下していきます。
4.メンバーが気持ちを一つにして、同じ目標に向かって進んでいける関係性が生まれます。
このプロセスを踏んでいくには、共通のゴールを設定しモチベーションが高まるようにサポートする存在が欠かせません。
メンバー一人ひとりの個性を受け入れたうえで活かしつつ、他のメンバーとのコミュニケーションの円滑化を目指すリーダーこそが、チームビルディングを成功させる要となるのです。
それでは、実際にチームビルディングではどんなことをするのか、プログラムの内容例と期待できる成果を見ていきましょう。
2-1.対話型
対話型はメンバーたちがお互いの気持ちや思いを話し、価値観を認識しあう手法です。
〇どんな状況の会社に向いているか
・上司と部下のコミュニケーションが不足している
・社員同士の交流が少ない
・新しい意見やアイデアが生まれない環境
会社での上司と部下の会話があまりなく、お互いの価値観を知らないままでいると、なかなか関係性が深まりません。
その結果、後輩や部下からの意見やアイデアがもたらされず、プロジェクトの停滞などの問題に悩んでいる会社に有効です。
業種は特に問いませんが各々が自分の担当の仕事をこなすため、社員同士のコミュニケーションが欠如しがちなSEや研究職などにおすすめです。
〇どんな成果が得られるか
・チームメンバー全員の価値観が一致し共有できる
・部下が自分の能力を活かし発言できることで、自己効力感を高める
対話型では、チームの目標に向かって行うべきことを共有することで、メンバーの価値観が一致します。
上司からの指示待ちだけでなく、部下が目標を達成するために意見し、自身で行動を起こせる積極性が生まれます。
〇具体例
http://blog.livedoor.jp/yasuyasu1976/archives/3927298.htmlhttp://positivelearning.seesaa.net/article/141632765.html
5~6人の小グループに分かれ、一つのテーマについてメンバーが自分の考えを話して周りは内容を聞く、カフェのような自然な対話環境を演出します。
20分ほどのグループディスカッションを合計3回行いますが、1回ごとに1人を除いてメンバーが移動し、新しいメンバーの前で考えを発信して対話の質を高めていきます。
・オープン・スペース・テクノロジー(OST)
https://www.faj.or.jp/modules/contents/index.php?content_id=1108
まずは大テーマが発表され、それに関連する「話し合いたい小テーマ」を参加者から募集していきます。
参加者は自分がセッションしてみたい「小テーマ」の場に移動し意見を話し合います。
貢献できないと感じれば、また別の小テーマに移動することもでき、より多くの人との関わりを持った後、最終的に話し合った内容や考えを全体に向かって発表します。
一人ひとりが関心のある小テーマに参加し話し合うことで、出た結論に対し強い納得感が生まれ、お互いを認め合い個人の自由な意思や意見を尊重し合える気持ちを養います。
2-2.アクティビティ
アクティビティは、チームワークを高め、1つの目標をチームで達成するために体を動かしながら実施するワークです。
〇どんな状況の会社に向いているか
・チームワークがなくなかなかプロジェクトの成果が得られない
・メンバー一人ひとりの個性を受け入れ合える関係性を作りたい
アクティビティは一人では達成できないような課題を、数人で協力し合ってクリアします。
現在社員同士のチームワーク力が低く、またメンバー一人ひとりの能力を活かせる環境を作りたい会社におすすめです。
業種は問いませんが、普段あまり体を動かさないデスクワーク系の業種はいいリフレッシュの機会になります。
〇どんな成果が得られるか
・きちんと言葉に出して自分の意見を言えるメンバーになる
・考え方は一人ひとり違うという価値観の差に気付ける
課題をクリアするには、メンバー全員の知恵と協力が欠かせません。
クリアするためにコミュニケーションを深め、お互いの苦手なことを補いながらゴールに向かって努力するため達成感や充足感が得られます。
〇具体例
・ヘリウムリング
https://www.faj.or.jp/modules/contents/index.php?content_id=1108
メンバーで円になり、顔の高さに掲げたフラフープにメンバー全員が人差し指だけで地面におろします。
途中で誰かの人差し指が離れたらまたやり直しです。
チームの呼吸を合わせないと、地面にフラフープが置けないのでチームワークが試されます。
・ブラインドスクエア
http://sandvik-jp.com/wordpress/
リーダー以外全員が目隠しをして、輪っか上のロープの一部を持ちます。
リーダーがメンバーに指示を出しながら、ロープが円になるようチームが動いていきます。
周りが見えないメンバーがリーダーの指示のみを頼りに考え動いていくことで、リーダーの指示の理解力、ほかのメンバーとのバランスと主体性を鍛える効果があります。
2-3.スポーツ
チームメンバー全員が参加し共有できるスポーツです。
同じ目標に向かい、協力し合いながらゴールに向かうことが結果につながるプログラムがおすすめです。
〇どんな状況の会社に向いているか
・新しいアイデアを生みたい
・非日常的な経験をして価値観をシフトさせたい
こちらのチームビルティングのスポーツは、日立コンサルティングやマルイグループなどの大手企業が研修に導入しています。
普段業務だけでのみ関わっているメンバーの絆を深め、チームを目指したい企業におすすめです。
業種は特に問わず、幅広い会社に通用するプログラムですが、スポーツは言語の壁があっても行えるものが多いです。
外資系や外国人採用者がいる企業や、斬新なアイデアを求めるデザイン系の業種に特におすすめです。
〇どんな成果が得られるか
・チームが息を合わせて行うため信頼関係を築ける
・お互いの欠点を補いながら協力し合う体勢が築ける
〇具体例
・ドラゴンボート
https://www.jdba-dragonboat.com/
1人のドラマーと1人のかじ取り、ほかに10~20人の漕ぎ手でボートを漕いでいきます。
ボートを進めるには漕ぎ手全員がタイミングを合わせて漕ぐ必要があり、一つの船を移動させる運命共同体として、チームワークが試されます。
・ブラインドサッカー
http://www.b-soccer.jp/aboutbs/aboutbs_1
目隠しをした状態でサッカーをするプログラムです。
メンバーの声やボールの音などの視覚情報に頼って行動し、普段視覚からの情報を元に生活している人々の五感を研ぎ澄ませる効果があります。
見えないことでお互いにコミュニケーションをとる必要もあるため、信頼度も高まります。
2-4.ビジネスゲーム
ビジネスゲームは実際のビジネスの仕組みをもとに作られたゲームで、経営や限られたリソースをどう配分するかなど、戦略を練っていくプログラムです。
〇どんな状況の会社に向いているか
・管理職や次世代リーダーを育てたい
・仕事上のチームワークを意識した会社にしたい
現実のビジネスに近いシステムによって、仕事上のチームワークを鍛えるほか、管理職や次世代リーダーのスキルアップにも役立ちます。
お金の流れを管理する経理や会計、そして金融業などに特におすすめです。
〇どんな成果が得られるか
・会社のお金の流れに興味を持てる
・どうすれば売り上げを伸ばせるのかなど業績に関する考え方を養う
会計や経理、簿記に関する知識がない人でも、損益計算書などの内容を理解し、決算書類が作成できるようになります。
〇具体例
・マネジメントゲーム
http://www.ns-1.biz/seminar-mgphoto.htm
モノポリーのようなボードゲームで、疑似的に企業経営を経験するプログラムです。
1卓4~6人のプレイヤーが集まり、自身で仕入れから販売、1期ごとに決算を行います。
実際にリスクを負うことなく、疑似世界で企業経験を積めることで会社組織そのものに詳しくなり、多角的な面からアイデアを出せる人材を育てます。
ソフトバンクの孫正義社長も実践しており、経理や事務でなくとも簿記の貸借対照表や損益計算書などの決裁書が作成できるようになります。
・THE 商社
http://heart-quake.com/biz_game.html
個性を認識する効果があります。
カードの取引があるため、社内コミュニケーションの活性化にもつながります。
3.チームビルディングにおすすめの業者・テキスト紹介
チームビルディングを自社ですべてプログラムを組むのには、それなりの知識や時間、道具など手間がかかります。
しかし、このチームビルディングは専門の協会や業者に依頼をすれば、講座体験やコンサルティングをしてもらえるのです。
ここでは、チームビルディングの実践をサポートしている協会、業者・コンサル、おすすめの本やテキストをご紹介します。
3-1.協会
・日本チームビルディング協会
http://jtba.jp/
チームビルディングを社会に普及するために、体験や養成講座を実施している公式の協会です。
講座では初めてリーダーになった人や部下を持つ管理者の方のため、アクティビティを含んだ体験型学習を行えます。
部下とのコミュニケーションに悩んでいたり、人にうまく仕事が振れなかったり、リーダー力を高めたい人に有効です。
業種は経営者や教師、市町村職員、学生などチームを引っ張っていく存在や、学校で生徒を指導する立場の方におすすめです。
3-2.業者・コンサル
ここでは大規模なチームビルディングもスムーズに行えるよう、会場や道具、プログラムを提案している業者をご紹介します。
・WAKU WORK UNDOKAI
https://work2.jp/
30人からの小規模な人数でも開催できる運動会風のプログラムが実践できます。
現在会社メンバーの士気が下がっている、部門間のコミュニケーションを増やしたいなど、個人の仕事へのやりがいを引き出すプログラムが用意されています。
また、上司と部門間の壁を吹き飛ばし、お互いが汗を流して協力し合えるので、会社をやめようとしていた社員が踏みとどまったとの声が上がっています。
体を思い切り動かす運動会プログラムなので、おすすめの業種は体を動かすことが少ないSEなどのデスクワーク系の部署や企業におすすめです。
・グランデコンサルティング
http://official.grandeconsulting.jp/
対話からスタートするオフサイトキャンプ、計画実行に向けてのフォローアップ、成功体験の共有のストーリーテリングの一連のプログラムを6か月間にわたって実施します。
継続的にチームビルディングを行っていくことで、個人の意識改善や組織の改革を目指していくプログラムが用意されているコンサルティングです。
特に新入社員や部署間の健全な関係性を目指し、個人が自分の個性に気付き自ら行動する精神力を養うためのプログラムです。
現在会社で孤立気味の社員がいる、リーダーのマネジメント力を高めたいなど、若手から中堅社員の能力アップが期待できます。
特に業種に制限はなく、今よりチームメンバー一人ひとりの意識を高めたいと望んでいる会社におすすめです。
3-3.本・テキスト
チームビルディングは短時間でできるちょっとしたプログラムからはじめるのもおすすめです。
ここでは手軽にできるチームビルディングに関する書籍や参考テキストをご紹介します。
チームメンバー間のコミュニケーションの円滑化や、チームのクリエイティビティを高めたい会社におすすめです。
15分でできる簡単なチームワークを高めるゲームが紹介されていて、短時間でメンバー同士の交流を深められます。
塾や学校などの教育現場から、普段ほかの社員とのコミュニケーションが少ない傾向にある研究職などにおすすめの書籍です。
メンバーがテーマについて議論し、交流を深めるワールドカフェ専門の指南書です。
ワールドカフェはチームビルディングの中でも、特別な道具をいらずに実践できるプログラムです。
テーマや問に向けての対話を重ね、全員が情報シェアを行うことで信頼感も生まれます。
社員たちの創造性を伸ばし、革新的アイデアを生み出したい、個人ではわからない新しい価値観をもたらしたい企業におすすめです。
こちらの書籍はワールドカフェの準備からやり方までをわかりやすく解説しており、「問い」の立て方など初心者が知りたい情報が詰まった内容になっています。
4.まとめ
チームビルディングは今のメンバーの考え方を変えたり、リーダー力を鍛えたりするプログラムがそろっています。
最近プロジェクトが思うように進行しない、社員の士気が下がっている気がする…そんな状況の会社の空気を変えるきっかけになるのが、このチームビルディングなのです。
道具がいらない手軽なものから本格的なスポーツまでいろいろなジャンルのプログラムがあるため、どのような効果をもたらしたいのかに合わせて、該当するチームビルディングを実践していきましょう。