仕事が忙しいと、つい「休憩抜きでいいや…」「ランチはデスクで仕事しながら…」という発想になりがちです。
しかし、そんなときに限って「午後は眠くて何も集中できない…」なんてことも多いかと思います。
ちゃんと休憩を取ることは良いリフレッシュとなり、結果的に仕事がはかどります。働く側も企業側も、休憩をしっかりとれるルールづくりや雰囲気づくりをすることが大切です。
楽しい休憩方法が浸透すれば、会社のPRにもなり社員の定着率アップにもつながります。
ここでは、“みんなが休憩したくなる”リフレッシュ法を解説します。いつもの休憩方法を見直して、仕事のパフォーマンスを上げましょう。
1.休憩をとる意味は?みんなが望む休憩とは?
1-1.休憩で仕事のパフォーマンスは本当に上がるの?
1-2.約6割の人は一人で休憩したいと思っている
2.一人で過ごす休憩スタイル
2-1.お昼寝でリフレッシュ(パワーナップ)
2-2.マッサージチェアでリフレッシュ
2-3.ランニングでリフレッシュ
2-4.ウォーキングでリフレッシュ
2-5.マインドフルネスでリフレッシュ
2-6シャワールームでリフレッシュ
2-7.アロマでリフレッシュ
3.みんなで ワイワイ休憩スタイル
3-1.お菓子食べ放題でリフレッシュ
3-2.アナログゲームを楽しむ
3-3.ヨガでリフレッシュ
4.休憩+メリハリワークでさらに効果的!
5.まとめ
1.休憩をとる意味は?みんなが望む休憩とは?
いろんなリフレッシュ法を紹介する前に、まずは“休憩そのもの”について少し考えてみましょう。
1-1.休憩で仕事のパフォーマンスは本当に上がるの?
休憩でリフレッシュしながら仕事をする方が、パフォーマンスは上がると一般的に思われていますが…これは真実でしょうか?
京都大学生態学研究センターなどが実施した「仕事効率を最大にする休憩のタイミングと長さの研究」によって、具体的な休憩の効果が明らかにされました。
この研究では、休憩した時と休憩しない時を比較すると、「した時の方」が効率アップすることを実証しています。ただし、休憩のとり方によって結果が大きく変わり、たとえば同じ休憩時間しかとれないなら、休憩のタイミングが早いほど仕事の効率が高くなることが分かりました。また、体力に余裕がある時に休憩をとっても効果が少ないことも確認されました。
このように「結果的に休憩をとった方が効率的」「休憩には効率的なとり方がある」ことを踏まえながら、ご自身や会社にとってベストな休憩方法を探っていきましょう。
参考:「仕事効率を最大にする休憩のタイミングと長さ 京都大学」https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/224243
1-2.約6割の人は一人で休憩したいと思っている
ビジネスパーソンがどんな休憩スタイルを望んでいるかも確認してみましょう。マーシュの調査によると、約800名のビジネスパーソンを対象にした「理想的だと思う休憩時間の使い方は?」の質問の回答は次の通りになりました。
・一人の時間にして、のんびりリラックスして過ごす…59.2%
・同僚や友人と会話しながら、楽しく過ごす…33.7%
働く側からすると、休憩時間は一人で過ごすスタイルを望む声が圧倒的です。 このことを踏まえると移転や新築で休憩室をつくる時は、一人で過ごせるカウンターを設置するといった工夫をするとよいでしょう。
次の章からは「一人で過ごす休憩スタイル」「みんなで過ごす休憩スタイル」それぞれの具体的なリフレッシュ法を紹介していきます。
参考:「仕事の昼休みに関するアンケート調査 株式会社アスマーク」https://www.asmarq.co.jp/mini_research/mr201401rest.html
2.一人で過ごす休憩スタイル
ここでは、7つのテーマで(お昼寝、マッサージチェア、ランニング、ウォーキング、マインドフルネス、シャワールーム、アロマ)休憩スタイルをご紹介していきます。
導入企業も併せてご紹介しているので、是非参考にしてみてください。
2-1.お昼寝でリフレッシュ(パワーナップ)
「短めの昼寝をする」休憩スタイルが今、注目を集めています。気分がスッキリし、仕事の効率が向上すると多くのメディアが取り上げています。
昼寝は仕事の効率に関わるだけでなく、ビジネスパーソンの健康にも影響を与えます。ビジネスパーソン向けの web マガジン『NIKKEI STYLE』によると、日本人の約4割が“睡眠負債”に陥っている可能性があることを指摘。睡眠負債が膨らんでいくと、日々の仕事の効率が落ちるだけでなく、免疫機能の低下や精神疾患などのリスクが高まる危険性もあると解説されています。
仕事中の短時間の昼寝は、もともとアメリカの企業で積極的に取り入れられています。この昼寝は「パワーナップ」と呼ばれ、約30%の企業で導入されていると言われます。企業にとどまらず、高校でも導入され効果を上げているのだとか。
昼寝のしやすいオフィス空間例としては、Yahoo!本社の休憩コーナーが有名。昼寝のできる畳敷きのスペースが設けられています。これはソフトバンクグループ代表の孫正義氏が、旧オフィスの社長室に仮眠のできる畳敷きスペースを作っていたことがヒントになっているようです。孫さんもお昼寝休憩派だったのですね!
http://ashita-office.com/power-nap-34729
パワーナップに関して、こちらの記事で実際に取材して分かった効果や社内のルール、導入方法も詳しく紹介しています。パワーナップについてもっと詳しく知りたい方は是非読んでみてください。
2-2.マッサージチェアでリフレッシュ
http://hrnabi.com/2015/09/24/9293/
導入すれば間違いなく人気を集めそうなのが「マッサージチェアの設置」。とくに慢性的な肩こりに悩む人が多いシステム会社やアプリ開発会社などでは支持されそうです。Indeed Tokyoは、常識にとらわれない発想のオフィスで知られますが、こちらにもマッサージチェアが2台置かれています。
設置ポイントは、直接肌に触れるアイテムなので清潔感に配慮すること。アルコールやお手入れ用のシートを常備する、あるいは、お手入れする当番を決めるなどが考えられます。
2-3.ランニングでリフレッシュ
マイナビ学生の窓口フレッシャーズの「社会人に聞いた、昼休憩1時間を最高に有意義にする時間の使い方」のアンケートでは、SNSをする、カラオケをするといった回答と並んで「ランニングをする」というものもあります。
実際に皇居などでも、昼休みを利用してランニングしているビジネスパーソンの姿はよく見られます。たとえば15分でランチを済ませて、トイレや更衣室で着替え、30分だけランニングといった時間の使い方なら、1時間のランチタイムでも満喫できます。
ランニング後は消臭ケアをしっかりしたいもの。ランナー向けのスポーツフレグランスとしては「アクア シャボン スポーツ」も人気を集めます。臭いだけでなく、運動時のメンタルバランスを「香りで整える」という機能重視のアイテムです。
参考:「社会人に聞いた、昼休憩1時間を最高に有意義にする時間の使い方 マイナビ学生の窓口フレッシャーズ」https://gakumado.mynavi.jp/freshers/articles/14143
2-4.ウォーキングでリフレッシュ
ランニングはカラダに負担がかかりそう…という方は、休憩中のウォーキングもオススメです。ビジネスメディア『JBpress』では、「おいしい昼活 ウォーキングで脳と身体に刺激」の記事内で昼休みにウォーキングをしているAさんに同行取材。遠くの店でお昼を食べることを意識するだけで、昼休み中に5000歩前後が歩けるそうです。
そんな Aさんの必携アイテムが「万歩計」。ちなみに彼が利用しているのは、歩く距離が増えると共に日本地図が出来上がっていくタイプの万歩計とのことでした。最近の万歩計では、カバンやポケットの中でも正確に歩数がカウントできる3D加速度センサー式や、スマホ・PCとデータをリンクできるタイプが人気を集めています。
参考:「おいしい昼活 ウォーキングで脳と身体に刺激 『JBpress』」http://jbpress.ismedia.jp/ts/zg/201308/
2-5.マインドフルネスでリフレッシュ
ストレスをやわらげ、集中力を高めるリフレッシュ法として、支持が広がっているマインドフルネス(座禅を参考にした瞑想)。Googleでも推奨されており、全従業員の約10人に1人が実践しているそうです。
『NHKスペシャル シリーズ キラーストレス』公式WEBサイト上(http://www.nhk.or.jp/special/stress/02.html)では、国内の第一人者、早稲田大学の熊野宏昭教授がマインドフルネス入門を解説。それによると次の5つのコツを挙げました。
1.背筋を伸ばして、両方を結ぶ線がまっすぐになるように座り、目を閉じる
2.呼吸をあるがまま感じる
3.わいてくる雑念や感情にとらわれない
4.身体全体で呼吸するようにする
5.身体の外にまで注意のフォーカスを広げていく
従業員のココロとカラダのバランスを考える企業は、マインドフルネスの講師を招いてみんなで体験するという企画をしてみてもいいかもしれませんね!
2-6シャワールームでリフレッシュ
http://hrnabi.com/2015/09/24/9293/
ランニングやウォーキングを推奨する企業は、シャワールームを設置するのもよいでしょう。リフレッシュ効果が高まり、運動後も臭いを気にせず仕事ができます。
シャワールームがあれば最近、増えている自転車通勤の従業員もスッキリしてから仕事が始められます。先ほど紹介した 「Indeed Tokyo」では、シャワールームも設置しています。 備え付けられたタオルは自分で洗濯するのがルールなんだとか。
2-7.アロマでリフレッシュ
これは休憩中に限りませんが、オフィスでアロマを活用することで、集中力やリラックス効果を高めるのも手。アロマディフューザーを使ったり、アロマスプレーを吹きかけたりといった方法があります。一人で香りを楽しみたい方は、マスクに少しだけ垂らすというのもいいですね。
アロマオイルには、さまざまな作用があるとされますが、その中でもオフィスで活用するとしたら、「ストレス緩和」「集中力アップ」などが重視したいテーマでしょう。『スキンケア大学』の曽山聖子ドクター監修記事によると、次の種類のアロマをセレクトすると効能が期待できるとのことでした。
・ストレス緩和…イランイラン、ジュニパーベリー、ネロリ、ゼラニウム、サンダルウッド
・集中力を高める…グレープフルーツ、ペパーミント、レモングラス、ローズマリー
引用:スキンケア大学「アロマオイル(精油)の効能一覧」
http://www.skincare-univ.com/article/005483/
ただし、従業員やお客様の中には香りが苦手な方もいます。気になる企業は「ハーブティーを揃えておく」くらいにセーブした方がいいかもしれませんね。
3.みんなで ワイワイ休憩スタイル
冒頭で紹介した通り、多くの人が理想とするのは「一人で過ごす休憩スタイル」。それだけに「みんなで過ごす休憩」を推奨する企業には工夫が求められます。
かといって決して難しいわけではありません。比較的簡単に取り入れられるものを中心に紹介していきます。
3-1.お菓子食べ放題でリフレッシュ
https://www.e-aidem.com/ch/jimocoro/entry/2015/05/21/120000
休憩中にお菓子を食べるのは定番中の定番。ESSPRIDEの調査では、おやつを食べた後の20代女性の脳波を測定したところ、緊張集中状態である「α3波」が増加。おやつによって集中力が高まることが分かりました。
このお菓子を食べるという当たり前の行為も、ちょっとしたアイデアでより楽しめる時間になります。ソーシャルアプリ開発企業「ティルス」では、お菓子食べ放題コーナーを設けています。公式WEBサイトでは「お菓子は食べ放題。人気のお菓子は減りがとても早い。」とのコメントも。大好評のようです。
他にも『はてなブログ』の運営企業で知られるはてなや、シンガポールにあるFacebookなどのグローバル企業も、お菓子食べ放題を採用しているのだとか。企業にとっては、設備投資がいらないので採用しやすい企画です。ただし、お菓子の食べ過ぎは体重増加につながるので、POPなどで「ほどほどに!」と呼びかけた方がいいかもしれません。
お菓子と社内コミュニケーションという視点では、FULAが600人のビジネスパーソンを対象に行った調査では、「上司(部下)とのコミュニケーションとして、お菓子をあげたりもらったりすることに対しどのように感じるか」の設問では、「良いと思う」が上司82.7%、部下72.3%の結果に。休憩中にお菓子をやりとりするちょっとした行為でも、社内コミュニケーションが活性化するようですよ。
参考:「仕事中のお菓子の効果とは ESPRIDE」http://esspride.com/publicity/pages/20160801.php
3-2.アナログゲームを楽しむ
https://www.wantedly.com/companies/translimit/posts/24395
休憩中にみんなで遊べるよう卓球台やアナログゲームを設置する企業もあります。卓球のメリットは、老若男女が手軽にでき、導入コストがあまりかからない点です。とくにデスクワークがベースの会社では、ほどよくカラダを動かすことでリフレッシュ効果が高そうです。
たとえば、スマートフォンアプリ開発の「トランスリミット」では、ランチ後のリフレッシュのために卓球が利用されています。また、アプリ関連企業でUIデザインに特化した「Goodpatch」ではフリースペースに卓球場がつくられ、息抜きに利用されています。隣に設置されたテーブルサッカーも盛り上がっているそうです。
3-3.ヨガでリフレッシュ
https://www.mamoru-kun.com/tips/internal-systems/
インターネットメディアのレバレジーズでは、始業前に希望者が集まって「朝ヨガ」を実施。上記の写真のように、女性だけでなく男性の参加者も目立ちます。リフレッシュすることで、効率性アップの成果につながっているそうです。
広めのスペースさえあれば、あとは設備の導入がいらないのが利点。ヨガが終わった後は、みんなで一緒に朝食をとれば、さらに社内コミュニケーションが活性化しそうです。
4.休憩+メリハリワークでさらに効果的!
業務効率を上げるには、休憩に加えて「メリハリワーク」に着目するのも大切です。『NIKKEI STYLE』の「仕事の集中力と効率が上がる、脳の活性法(https://style.nikkei.com/article/DGXMZO93958830T11C15A1000000)
」では次のようなメリハリワークを提案しています。
午前中は「すぐに終わる仕事」を中心に。達成感を得ることで次の仕事の意欲
が高まります。ランチ前30分は苦手の仕事を片づける時間帯。理由は苦手な仕事を後回しにするとそれがストレスになり効率が落ちてしまうからです。午後は食事によって血糖値が上がり脳が活性化しやすいので、アイデア出しに向いています。打合せや会議を中心にスケジュールを組みましょう。
5.まとめ
ここでご紹介した他にも、まだまだたくさんの休憩スタイルがあります。社員の年齢層や男女比、業種なども考慮して自社にぴったりな休憩スタイルをみんなで考えてみましょう。社員にアンケートを取ってみるのもいいと思います。
楽しい休憩方法が社内に広がれば、求人広告で会社の魅力を伝えられたり、定着率アップにつながったりといった効果もあります。休憩時間をうまく活用し、仕事のパフォーマンスを上げましょう。