社内勉強会は、社内の一体感をつくったり、ノウハウを共有するのに有効です。
実践している企業は多いと思いますが、実際に他社はどんなテーマをどのように運営しているか気になる方も多いのではないでしょうか。
どうせ取り入れるなら、社員にノウハウが身につき、モチベーションも上がるような内容の勉強会を開催したいですよね。
この記事では、社内勉強会の運営に必要な知識や他社で採用されているテーマを紹介していきます。
「テーマをどのように考えるといいか」「どんな事前準備が必要か」など、立ち上げ時にフォーカスした内容をお届けします。
1.社内勉強会の基本を学ぼう
1-1.社内勉強会の目的とは?
1-2.社内勉強会の失敗例
2.社内勉強会のテーマを考えよう
2-1.社内勉強会のテーマ例
2-2.社内勉強会のテーマを考えるコツ
3.社内勉強会の事前準備とポイント
3-1.社内勉強会開催までの流れ
3-2.スタイルの設定
3-3.講師の依頼
3-4.資料作成のコツ
3-5.開催当日の運営ポイント
3-6.アンケート
コラム:社内勉強会の参加は残業代になる?
4、まとめ
1.社内勉強会の基本を学ぼう
勉強会には、従業員を対象にした「社内勉強会」と、他業種交流会などの「社外勉強会」があります。このコラムでは、 社内勉強会について解説していきます。
1-1.社内勉強会の目的とは?
社内勉強会は様々な目的で行います。主な目的は次の3つです。
1. 社内コミュニケーションの活性化
2. ノウハウ(ナレッジ)共有
3. スキルアップ
はじめに、「どの目的のために社内勉強会を立ち上げるのか?」を明確にした上で、プランニングする必要があります。この部分のツメが甘いと後々、「勉強会をする意味ってそもそも何だっけ?」ということになりますし、成果も判断できません。
「1.社内コミュニケーションの活性化」では、部署間や世代間の垣根を解消するために勉強会を行います。「2.ノウハウ(ナレッジ)共有」は、社内の一部の人材が持っている経験や知識をオープンにするものです。「3.スキルアップ」は、具体的な技術習得や資格取得のために学びます。
1-2.社内勉強会の失敗例
社内勉強会を開催してみたものの「失敗してしまった!」というケースもあります。傾向を知って対策をとっていれば、失敗は避けられます。失敗原因は次の内容に集約されます。
● テーマに興味を持たれなかった
● 仕事で役に立たなかった
● 開催日時、頻度、場所などに問題があった
● 適正人数で開催されなかった
勉強会を成功させるためのポイントは、この記事内の「3.社内勉強会の事前準備とポイント」をご参照ください。
2.社内勉強会のテーマを考えよう
社内勉強会を立ち上げる時には、テーマがすでに決まっているケースと、これからテーマを決めるケースがあります。この章では、テーマを決めるためのヒントをお届けします。
2-1.社内勉強会のテーマ例
社内勉強会のテーマは、多種多様なものが考えられます。方向性としては、2通りが考えられます。幅広い層の従業員が対象の「総花的なテーマ」、あるいは、一部の従業員を対象にした「ニッチなテーマ」です。それぞれ具体例を挙げてみます。
〈総花的なテーマ例〉
職種、年齢、階層などに関係なく、みんなが興味を持つテーマを考えます。
● セクハラ勉強会
● メールの書き方勉強会
● チームワーク勉強会
総花的な社内勉強会の一例をご紹介。インターネット広告企業のアドウェイズでは、ワークショップ企画・運営に興味のある社員を対象にした「ワークショップ入門」の社内勉強会を開催。こういったテーマだと若手、ベテラン関係なく、興味のある社員なら参加できます。
前半は、社員が講師となって参考書籍を輪読しながらワークショップの基礎を学習。後半は、ワークショップを実際に企画するという内容です。
〈ニッチなテーマ例〉
「〜のための」と参加対象者を明確にするのがポイントです。
● システムエンジニアのための「新技術の勉強会」
● セールスエンジニアのための「新商品の勉強会」
● サービススタッフのための「クレーム勉強会」
● 不動産会社の若手社員のための「宅建取得の勉強会」
● 証券会社の社員のための「新税制の勉強会」
● 社内の情報発信担当者のための「著作権勉強会」
ニッチ型の社内勉強会の一例をご紹介。金融ソフト開発を得意にするジィファムでは、1~2年目の若手を対象にした「プログラム勉強会」を開催。新人研修などで身につけたプログラムスキルをさらにレベルアップするため、先輩の体験談を聞きながら学んでいます。
2-2.社内勉強会のテーマを考えるコツ
社内勉強会には、「従業員主導タイプ」と「会社主導タイプ」があります。
従業員主導は、「こんなことを勉強したい!」と従業員から声があがり、それをきっかけに社内勉強会が立ち上げられるケースです。この場合、テーマは立ち上げられた段階で自然に決まっていることがほとんどです。
一方、会社主導タイプは、社長や上司から「社内勉強会を立ち上げてほしい」と指示をされるようなケースです。初期段階でテーマが決まっていないことも多く、妙案がなかなか浮かばないこともあります。
勉強会のネタ(テーマ)を考える時のコツについて、人材教育コンサルタントの田中淳子さんは次のように解説しています。
「何を勉強したい?」ではなく、「仕事上の不安はなに?それを勉強するための会はどう?」というアプローチのほうが、メンバにとって切実なものを勉強会ネタにできるというのですね。
引用:オルタナティブ・ブログ
3.社内勉強会の事前準備とポイント
いくら企画(テーマ設定)が良くても、事前準備が甘いと満足度の低い社内勉強会になってしまいます。とくに初めて勉強会を運営する方は、着手から実施までの流れをしっかり把握した上で準備に望みましょう。
3-1.社内勉強会開催までの流れ
社内勉強会のプランニングから実施までの、 大きな流れは次の通りです。
1. 上司や代表者への相談
2. 勉強会のテーマ設定(社内ヒアリングの実施)
3. 参加者の設定
4. スタイルの設定・講師の依頼
5. 場所・日時の設定
6. 資料の作成
7. 開催当日
着手から実施までにどれくらいの工数をかけるかは、ケースバイケースです。仮に上記の流れのうち、前半の「1.上司や代表者への相談 」から「3.参加者の設定」までの工程を1ヶ月、後半の「4.講師の依頼」から「8.開催当日」までの工程に2ヶ月かけたとすれば、最低3ヶ月は必要です。
とくに1回目の開催は、慣れていない分、予想外に手間と時間がかかることもあります。余裕のあるスケジュールにしておきましょう。
3-2.スタイルの設定
「社内勉強会開催までの流れ」の中で、とくに重要なポイントを解説していきます。「4.スタイルの設定」は、 大きく「 講義スタイル」と「ワークショップスタイル」に分かれます。
講演スタイルとは、講師が大勢のメンバーに講義をするものです。メリットとしては、信頼できる講師さえ手配すれば実施しやすい、運営の手間がかからないといった内容が挙げられます。
一方のワークショップスタイルとは、 講義は最小限にして、いくつかのチームに分かれて議論や作業をするものです。メリットとしては、講義の内容が身になりやすいことが挙げられます。
社内勉強会の運営経験があまりない担当者は、まずは講義スタイルを採用するのが無難です。
3-3.講師の依頼
講師については次の3つの選択肢があります。
1. 外部のプロフェッショナル講師に依頼する
2. 社内のスキルの高い講師に依頼する
3. 取引先企業のスキルの高い方に依頼する
外部のプロフェッショナル講師に依頼すると、 内容は充実しますが費用がかかります。相場は、安い方でも数万円、著名な方なら最低でも10万円単位になることが多いです。
社内のスキルの高い講師は、手軽で費用がかからないメリットがあるものの、みんなが話を聞きたいと思う方でないと反響が悪いので注意が必要です。
取引先企業の方は、普段お付き合いがあるため、気軽に頼みやすいメリットがあります。同じ業界、あるいは、関連する業界の方が多く、テーマ設定もしやすいです。
注意したいのは、外部講師と社内講師ではスケジュール感覚が違うという点です。外部講師の場合は、数ヶ月前から開催日時を決めておく必要があります。逆に、社内講師であれば1ヵ月程度の調整期間で十分なケースが多いです。
3-4.資料作成のコツ
スキルアップやノウハウ共有をテーマにしている社内勉強会では、資料作成も重要です。話を聞いて満足するだけではなく、勉強会の内容を持ち帰ってもらうことで参加者に定着します。
勉強会の資料は、講義内容に沿った内容になります。手間をかけたくない場合は、講師の使うパワーポイントの出力でも構いません。もし効果を高めたいのであれば、講師の資料をもとに再編集します。
ここで大切なことは、「講演の資料と社内勉強会の資料は根本が違う」ということです。講演の資料であれば丁寧に作り込む必要があります。しかし、社内勉強会では、丁寧に解説しすぎると逆効果ということもあります。そう考えれば、資料の情報量を極力少なくして、空欄を多くすることで、参加者がメモする(=記憶に定着する)環境をつくるのが最善といった考え方もできます。
3-5.開催当日の運営ポイント
講師とのコミュニケーション、資料作り、参加者への周知などをしっかりやっていれば、開催直前から当日にかけて慌てることはないと思います。
細かい事前準備としては様々ですが、たとえば次のようなことがあります。
● 開催直前に参加者へ日時を再度知らせる
● 外部講師をお願いする場合は会社までの道案内資料を送る
● 勉強会の参加人数が多い場合は、参加者名簿作成し、入り口で出欠確認をする
社内勉強会の当日は、講師が主役ですが、運営者のフォローも大事です。社内勉強会がはじまる時には、改めて社内勉強会の目的を再確認しましょう。また、講師の経歴などはしっかりわかりやすく説明します。それにより、利き手のモチベーションが変わってきます。
社内勉強会中は、空調は問題ないがないか、体調の悪い人はいないかなど目配りをしましょう。
3-6.アンケート
初めて社内勉強会を開催した時は、必ず参加者にアンケート取りましょう。その結果によって次回への改善点が見えてきます。また単発の場合でも、予想外に好評だったので、定期開催になるといったことも考えられます。
アンケートには次の3点を入れておきましょう。
● 今回の勉強会の満足度・改善点
● また勉強会に参加したいと思うか?(理由含む)
● どんな勉強会があれば参加したいと思うか?
コラム:社内勉強会の参加は残業代になる?
社内勉強会は、たいていの場合、勤務時間以外に行われると思います。その場合、参加者から「この社内勉強会は残業になるのか」という質問が来ることもあります。
社内勉強会は、残業代になる、ならない両方のケースが考えられます。
〈残業代に含まれないケース〉
参加を募るときに自由参加で、ビジネス全般に役立つスキルをテーマにしてる場合は、残業代に含まれないと考えるのが一般的です(例:エクセル上達セミナーなど)。
〈残業代に含まれるケース〉
強制参加で、具体的な業務と密接に絡む内容の場合、例えば、その勉強会に参加しなければお客様に新商品のセールストークができないといったケースでは、残業代に含まれると考えるのが一般的です。
このへんが心配な担当者は、参加者を募集するときの文面に「※この勉強会は自由参加です。タイムカードを押した後で参加して下さい。」といった文面をつけると良いでしょう。
4、まとめ
最後に、ここまで解説してきたことを振り返りたいと思います。
社内勉強会の成功ポイントは、「開催目的を明確にすること」と「万全の準備」です。
勉強するテーマをこれから決める場合は、幅広い層に向けた総花的なテーマ、一部の従業員に役立つニッチなテーマがあります。ニーズのある方を選びましょう。
社内勉強会の準備で特に重要なのは、講師を誰に頼むか。外部講師に依頼する場合は、数ヶ月前から開催日時を決める必要があります。社内講師なら1ヵ月程度の調整期間で済むケースが多いです。