内定辞退者の本音から見る、企業が見直すべきポイント5つ【辞退理由ランキング付】

ワークライフバランス

採用担当者にとって、内定辞退は悩みの種の1つではないでしょうか?
内定通知を出しても、相次いで内定辞退の連絡を受けてしまうことで、計画通りの採用人数を確保することができないこともあるでしょう。
入社する人員を確保できないのは、会社としても大きな痛手です。

内定辞退を防ぐためには、なぜ自分たちの会社が辞退されるのかという原因を知るのが一番の近道です。
そこでこの記事では、求職者が内定辞退した理由をランキング形式で紹介していきますので、内定辞退を下げるヒントや改善点の参考にしてみてください。

また、求職者の本音や内定辞退を減らす採用活動ができる施策も紹介していきます。
求職者の本音を知ることで、効果的な採用方法検討することできます。具体的な施策を理解すれば、自社にも導入しやすいはずです。
ぜひこの記事を参考にして、内定辞退率を下げるための改善をしていきましょう。

1.内定辞退の本音。辞退理由から見る企業が押さえるべきポイント4つ
 1-1.勤務地・給与・社風…求職者が本音で答えた内定辞退理由ランキング
 1-2.内定辞退した求職者の本音と企業が押さえるべきポイント
2.内定辞退を防ぐには採用フロー・内定者フォローが重要!
 2-1.選考フローが内定辞退に大きく影響する!見直すべきポイント5つ
 2-2.内定後フォローで内定者を逃さない!施策3選
3.まとめ

1.内定辞退者の本音。辞退理由から見る企業が押さえるべきポイント

業側は内定辞退する1番の理由は、学生が企業研究・業界研究ができていないと考えています。
実際に、「平成29年度 就職・採用活動に関する調査(企業)」において、内定辞退が生じる原因についての問いに、「学生自身の業界研究・企業研究が不十分」について「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」の回答が64.9%と最も多かったのです
(参考:平成29年度 就職・採用活動に関する調査(企業)(P22)https://bit.ly/2u2beJC

しかし、求職者の内定辞退の理由や本音を探ってみると、別の声も見えてきます。
そこでここでは、求職者が内定辞退する理由のランキングと本音を紹介していきます。

1-1.勤務地・給与・社風…求職者が本音で答えた内定辞退理由ランキング

まずは、内定後の辞退理由ランキングを紹介していきます。
このランキングは、エン・ジャパン株式会社の「内定辞退の心理」についての調査(https://partners.en-japan.com/special/jitainosinri/)を参考にしています。


(引用:辞退の心理。|エン人事のミカタ!エン・ジャパン
https://partners.en-japan.com/special/jitainosinri/

求職者の辞退理由としては、「勤務地・給与などの条件の折り合いがつかなかった」が圧倒的に多く、辞退理由1位です。
勤務地や給与などの条件は、求職者にとって重要なポイントであることがわかります。
また、求人情報や面接時の条件と採用後に提示された条件が違うことも、辞退理由4位にランクインしています。
最重要視されやすい勤務地・給与などの条件は、異なる情報を提供しないように注意しましょう。

続いて、辞退理由2位は「社風が自分に合わないと判断した」という理由がランクインしています。社風を知ってもらう・伝えるタイミングは説明会等で設けることが出来ます。社内見学や先輩社員との座談会等で予め会社の雰囲気を知ってもらった上で選考を始める仕組みを作ることで、社風が合わないという理由での内定辞退を防ぐことにつながります。

続いて、「他社での選考が通過した・内定が決まった」が辞退理由3位となっています。
優秀な求職者ほど内定を取得する可能性が高く、他社と比較される可能性が高くなります。
内定辞退されないためにも、求職者への対応や連絡のペース等、求職者の立場に立ちマイナスな印象を与えないようにしましょう。

また3位の「他社での選考が通過した・内定が決まった」につながる、辞退理由5位・6位は「最終選考の面接官の行動や態度が悪かった」「企業の担当者の対応が悪かった」は防ぐことができる辞退理由です。
面接官や採用担当者は、学生側もこちら面接しているという気持ちで臨み、職者の立場に立って行動するべきです。

1-2.内定辞退した求職者の本音と企業が押さえるべきポイント

ここからは、求職者たちの本音について紹介していきます。
ランキングではわからない本音を知ることで、内定を辞退する理由を理解することができ、採用の改善へとつなげることができます。

①条件や待遇の本音とポイント
・本音
「何年も勤める中で、やっぱり福利厚生だったり、残業がない働き方って自分の中では重要だなと思ったんです。なので、ベンチャー気質ではあるけれども、しっかりした基盤のある今の会社を選びました。」
(参考:https://www.wantedly.com/companies/bell-face2/post_articles/125698

・「学生時代に積み重ねてきた鳥取での人間関係や実績を、就職することで0にしたくないと考えたことです。最初は、数年間は東京で修行をして、それから鳥取に帰ってこようと考えていましたが、そうなるとこれまで鳥取での活動を通じて築いてきたことを1回リセットすることになるなと。学生時代の活動を通じて得た縁を就職後も繋ぎつつ、社会人としても成長していきたいと考えて鳥取の企業を選びました。」
(参考:https://company.jobweb.jp/post/a-119784

★ポイント
求職者にとって給与などの条件や待遇は、重要なポイントの1つです。もちろん、この条件には福利厚生も含まれています。
そのため福利厚生を充実させることは、内定辞退を減らすことにつながります。

また、Uターン/Iターンという制度があるように、勤務地もポイントです。
各地に支店がある場合、現地での勤務を条件に組み込むことによって、プラスに働くこともあります。

②社風が自分に合わない場合の本音とポイント
・本音
「面接官の質問が決め手。『うちは仕事好きな社員が多いから残業が多いけど、大丈夫?』という質問から、『効率を追い求めない古い体質の企業だ』と捉え、辞退を決意。」
(参考:https://www.sankeibiz.jp/business/news/180903/prl1809031142066-n1.htm

★ポイント
本音からわかるように、求職者は面接官の質問などからでも社風を感じ取ります。
悪しき社風は改革して無くすことで、内定辞退の削減となるのです。

③他社で内定を取得した場合の本音とポイント
・本音
・「私は『憧れ』に勝てなかった。最後の最後まで悩んだけど、やっぱり映画がやりたかったんですよね。志望順位も高い、映画を配給できる立場っていうので今の会社を選びました。」
(参考:https://www.wantedly.com/companies/bell-face2/post_articles/125698

・「同業者2社から内定。社風や条件に差がなかったため、より『自分を評価してくれている会社』を選ぶことにしました。当初予定されていた面接回数より少ない回数で内定を出したX社の方を『自分を高く評価してくれた』と感じ、入社を決めました。」
(参考:https://www.recobook.recruit.co.jp/column/0024.html

★ポイント
優秀な人材ほど複数の会社で選考通過する可能性が高いです。複数の内定をもらった求職者は、様々な点から比較してどこに就職するのかを決めます。
何を重視するのかは求職者によって違いますが、マイナスな印象がある会社は真っ先に内定辞退されてしまいます。
選考段階に面談といった形で求職者とラフに話す場を設け、求職者の現状や企業選定の軸を把握できる場を設けるのも良いでしょう。仮に他に志望度の高い企業があったとしても、求職者にしっかりと向き合う姿は好印象を与えます。

④面接官・担当者の対応が悪い場合の本音とポイント
・本音
・「2社内定をもらいました。どちらも事業内容に共感していたため、決めかねてY社の社員に相談。Y社の先輩社員は、ライバルZ社を否定する発言が目立ちました。Z社も魅力的な会社だっただけに、否定する先輩社員をみて『この人と働きたくない』と思い、Y社を辞退することにしました。」
(参考:https://www.recobook.recruit.co.jp/column/0024.html

・「内定式当日の会社の対応。内定式前日の夜中に、非常に大きな台風が来ていて、首都圏の交通網は完全にマヒしていました。そんな中、内定式は開催するとの連絡が(午後から)。午後から開始とはいえ、電車が混雑している事は想定できるはず。こんな日に出勤を余儀なくされる会社なんて嫌だし、満員電車にもう乗りたくない。そう感じて、欠席の電話をするついでに、勢いで辞退しました。」
(参考:https://ngoch333.com/decline-job-offer/

★ポイント
面接官や採用担当者の対応が悪ければ、内定辞退者が増える可能性があります。
入社すれば、面接官や採用担当者は先輩社員となります。
そのため、「一緒に働きたくない」と求職者が思ってしまえば、内定辞退する可能性が高くなってしまいます。
面接官や採用担当者は、求職者の立場にたって対応を考えるようにしましょう。

2.内定辞退を防ぐには採用フロー・内定者フォローが重要!

内定辞退の理由ランキングから、他社から内定をもらったという内容が多いです。
簡単に言ってしまえば、他社ライバルに負けてしまったことが、内定辞退の理由と言えます。
そこでここからは、他社に負けない採用活動をするために必要なことを軸に紹介していきます。

内定辞退の対策としては、こちらの記事も参考にしてみてください。
「成功企業に学ぶ!内定者辞退に効果のある対策10選」
https://and-l.jp/magazine/naitei-jitai/

2-1.選考フローが内定辞退に大きく影響する!見直すべきポイント5つ

採用選考の流れは、実は内定辞退とも深くかかわりがあります。
選考フローを改善することで、ターゲットを絞ることができ、自社の選考度を上げることが可能です。
それでは、どう採用選考の流れの問題点と改善方法を 紹介していきます。

①採用ターゲットが絞られていない
自社にはどんな人材が必要なのかを明確にするべきです。
今欲しい人材に、今後どういうことをやっていって欲しいのかを明確にするだけで効果が表れます。

欲しい人材の明確化は、経営者と人事が一緒になって考えるべきです。
経営者も加わることで、経営方針に沿った必要な人材を明確化しやすいです。
また、ターゲットを絞ることで、採用側の認識を一致することができ、人材と企業の不一致を起こりにくくすることができます。

②採用キャッチが曖昧
採用キャッチが曖昧だと、求職者へ伝えたい意図が伝わりません。
その結果、訴求したい求職者へ響かせることができず、ミスマッチの求職者しか応募してこないケースが考えられます。
ミスマッチの求職者に内定を出せば、辞退する可能性が高いです。
そのため、意図が伝わるような採用キャッチにするべきです。

採用キャッチは、求職者が抱く企業イメージに直結するため、とても重要です。
胡散臭く感じる採用キャッチでは、質の高い人材が集まるのが難しくなります。
「ワクワクする」もしくは「成長させてくれそうな」キャッチを採用することで、興味を持ってもらいやすくなります。

採用キャッチが活躍するのは、求人広告や自社のサイト内の採用ページなどです。
また、説明会でも統一して用いるのがおすすめです。
ちなみに、参考となるいい採用キャッチも紹介しておきます。

【採用キャッチの参考例】
・GMOインターネット株式会社(参考:https://saiyo.gmo-ap.jp/
『「日本一?無理でしょ。」笑うヤツをいつか、笑い返してやろう。』

・株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント
(参考:https://saiyo.sme.co.jp/graduate/19/
『世界を君がおもしろくするんだ!』

・株式会社KADOKAWA(参考:https://ir.kadokawa.co.jp/recruit/2020/
『“好きすぎる”は、才能。70億のココロふるわす、ものづくり・コトづくりを』

③エントリーが簡単にできる
簡単にエントリーできる企業の採用募集には、「とりあえず応募しておこう」という求職者も応募します。
このような求職者は、自社の選考度が低いパターンが多く、他社で内定をもらえば辞退すること考えられます。
そのため、エントリーの難易度を高める ことで、自社の選考度が高い求職者を集めることが可能です。

具体的には、エントリーシートでの設問を増やすことが挙げられます。
エントリーシートでは、「志望動機」「学生時代に頑張ったこと」「趣味・特技」などを問うのが一般的です。
しかし、これだけでなく様々な設問を追加することで難易度は高くなります。
例えば、「乗り越えた困難について」「弊社でやってみたい仕事は?」「将来はどうなりたい?」など、採用側にとっても求職者のことを知ることができる設問を増やすことで、エントリーの難易度アップと求職者の選考という2つのメリットを生み出すことができます。

④社員との接触が少ない
社員との接触の機会が少ないのも、内定辞退者を増やす要因になりかねません。
会話をする機会が多ければ、求職者にとって「会社の雰囲気」「業務理解内容」などを理解するきっかけになります。
それらを知ることで、会社の魅力を感じて入社を決意してくれることもあるでしょう。
できるだけ、社員と求職者が接触する機会を増やすべき です。

具体的には、先輩社員との座談会や相談会などが挙げられます。
選考中の段階でも、先輩社員と会話ができる座談会や相談会を開催することで、自社の魅力の発信と求職者の不安の解消につなげることが可能です。

⑤社内が見えにくい
社内が見えにくいと、求職者にとって「社風」や「社内の雰囲気」がわかりません。
これらがわからないままだと、入社するのに不安になってしまう求職者もいます。
その結果、内定辞退へとつながるケースもあります。
できるだけオープンなスタンスで、社内を見えやすいようにするべきです。

例えば、「社内で説明会を行う」「社内見学会の機会を作る」「社内でランチ会を行う」などが挙げられます。
最近ではレンタルスペースで会社説明会をするケースがありますが、それでは会社のリアルな様子がわかりません。
会社の中に入ってもらい、実際に働いている様子を見てもらうことが大切です。

2-2.内定後フォローで内定者を逃さない!施策3選

内定後のフォローをすることも、内定辞退を減らす施策の1つです。
フォローの方法はいくつかありますので、他社事例 も参考にしながら紹介していきます。
ぜひ参考にして、自社にあった内定後のフォローをしていきましょう。

①懇親会を開催して先輩社員との接触を増やす
内定後のフォローとして、懇親会を開催する方法があります。
社内イベントなどのレクリエーションや内定者同士の自己紹介などをすることで、内定者同士もしくは内定者と先輩社員の交流をします。
これにより、仲間意識を芽生えさせたり、先輩に質問することで疑問・不安を解消したりする効果が期待できます。

【他社事例・サイボウズ株式会社のケース】
内定者懇親会を導入している企業の1つがサイボウズ株式会社です。
先輩社員を交えた食事会を開き、年齢・バックグラウンドの近い先輩社員と交流してもらいます。
ここで、先輩社員に質問できる機会を提供することで、疑問・不安を解消しているのです。

サイボウズ株式会社は、内定者ワークショップ というフォローもしています。
内定者ワークショップは、内定者全員が集まって行うグループワークです。
簡単な企画コンテストで、サイボウズ製品の広告宣伝のアイデアをグループごとに考えて発表します。
製品担当の先輩社員が審査員を行い、優秀なグループを表彰しています。
これにより、自社製品への理解を深め、内定者同士の親睦を深めているのです。
その結果、内定者の入社へのモチベーション維持につながっています。
(参考:https://live.cybozu.co.jp/followupfreshers.html

②社内の雰囲気を理解してもらうための社内見学
内定後のフォローとして、社内見学も効果的です。
社内見学をすることで、実際に働いている様子を知ることができます。
これにより、入社後のイメージが付きやすく、入社へのモチベーションにもつながります。

【他社事例・株式会社シアーズホームのケース】
実際の社内見学会の様子
(引用:株式会社シアーズホームhttps://searshome.co.jp/recruit/blog/150/
社内見学を実践している企業の1つが株式会社シアーズホームです。
内定者イベントとして、入社前の職場見学を行っています。
見学場所は、入社後に勤務が予定されている展示場とスタッフルームです。

展示場では、各部屋の説明や構造の説明などを行なっています。
スタッフルームでは、図面作成に使用するCAD操作の見学や家づくりの工程の中で設計がどんな形で関わっていくのかなどの説明をしているのです。

見学会では、大学や専門学校で学ぶ知識だけでなく、実践的な知識も紹介しています。
これにより、入社後の業務内容やどんな知識が必要なのかを事前に内定者が知ることができます。
そして、入社後に感じるイメージギャップを無くすことができ、早期離職の減少にも役立つのです。
(参考:https://searshome.co.jp/recruit/blog/150/

③同期同士を結束させる社内SNS
同期同士の結束をつけることで、内定辞退率を下げることにつながります。
社内SNSで同期同士を繋げてあげることで、親睦を深めることができます。
それにより、入社への意欲を高めることを期待することができるのです。
ちなみに最近では、内定者同士をつなげるためのSNSサービスも増えています。

【他社事例:マルホ株式会社のケース】
内定後のフォローとして、社内SNSを導入している企業の1つがマルホ株式会社です。
同社は、内定者・人事担当者・先輩社員が交流できる社内SNSを導入しています。
交流するだけでなく、人事担当者からアンケート調査や提出物の配布・回収まで行うことが可能です。

社内SNSを導入したことで、内定辞退予備軍の早期発見ができるメリットがあります。
過去の内定辞退者の傾向から、「顔写真を登録しない」「提出物が遅れがち」「投稿・コメントがない」などのSNS上の動きから、内定辞退予備軍を見つけ出すことができるのです。

同社では、ログイン状況などの行動から内定者1人1人の温度感を把握し、内定辞退の可能性がある内定者に重点的なフォローをすることで内定辞退を減らしています。
(参考:https://at-jinji.jp/blog/4117/

3.まとめ

今回は、内定辞退の理由ランキングと採用方法の改善点を紹介してきました。
内定辞退の理由は、他社が関係しているケースが多いです。
そのため、内定辞退を減らすためには、ライバル他社に勝つ必要があります。

採用選考フローを改善することで、自社の選考順位を高めることができ、入社後のギャップを減らすことも可能です。
また、採用選考だけでなく、内定後のフォローもポイントです。